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福山弁護士の「飲み法題」


       

派遣法「改正」の二つの流れ

 今、労働者派遣法の「改正」が叫ばれているが、それには二つの流れがある。  一つの流れは、派遣先が決まったときだけ働く「登録型派遣」や「日雇い派遣」などの 不安定な派遣を禁止するとともに、派遣対象業務を自由化した1999年以前の状態に戻 して専門的業務に限定するなど、派遣労働を限定する方向である。  もう一つの流れは、派遣受入期間の制限の撤廃、派遣先の直接雇用申込義務の撤廃、事 前面接の解禁、派遣対象業種の拡大、請負と派遣の区分の「見直し」等により、さらに派 遣を自由化しようという方向である。    この夏の参議院選挙では、格差と貧困の問題が争点となり、自公両党が大敗北を喫した が、貧困を生み出している最大の要因が派遣をはじめとする非正規労働の拡大にあったこ とは今や常識である。  その意味では、格差と貧困の解決のためには、正規雇用の拡大、均等待遇の義務化等の 法規制が不可欠であり、だからこそ、野党4党や労働団体はこぞって派遣を制限する方向 での派遣法改正を提唱している。  ところが財界は、むしろ派遣を拡大する方向での「改正」を目論んでおり、厚労省はそ れに追随した派遣法「改正」を進めようとしている。しかも、厚労省はその議論を今年1 1月にもまとめようというのである。  「改正」の名で行われる改悪を許さず、今こそ労働者が安心して働き生活していける方 向での派遣法改正(本当は派遣法廃止が望ましいと思いますが)を実現することが大切で ある。 弁護士 福 山 和 人



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