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小笠原弁護士の”知っ得”



  

〜最低賃金制度その2

 みなさん、こんにちは  この3月は、5月の陽気があったかと思えば、2月の寒さにぶり返すなど、異常気象を 体験させられました。わが家のファイトを散歩させるにも一苦労です。  さて、今回は、2月にお話ししました最低賃金制度の続きです。 ■京都府の最低賃金に基づく収入    現在の京都府の地域別最低賃金は、前回にお話ししましたように、1時間あたり金   686円です。    1日8時間働くとして、1ヶ月平均22日としますと、1日5488円、1ヶ月1   2万0736円、年間144万8832円となります。     〈計算式〉      686円/時 × 8時/日 × 22日 = 120736円      120736円/月 × 12月     =1448832円 ■地域別平均所得から見ると・・・    毎日新聞社が本年2月4日に発表した、全国2375市区町村別の平均所得によれ   ば、京都府域の市町村の平均所得は次のとおりです。      全国順位     市町村名     所得(万円)        50      木津町     412        52      精華町     410       107     京田辺市     383       117     長岡京市     379       162      加茂町     366       234      八幡市     354       236      京都市     354       258    宇治田原町     352       277     大山崎町     350       310      宇治市     346       342      向日市     342       452      城陽市     331       517      亀岡市     326       519      井手町     326       586      山城町     321       658     南山城村     317       696      舞鶴市     314       701     久御山町     314       745      八木町     311       771      園部町     310       834      和束町     307       844     福知山市     307       914      笠置町     304      1058      宮津市     298      1201      日吉町     292      1362      丹波町     286      1441      綾部市     283      1501      大江町     280      1636      美山町     275      1650      和知町     275      1689     京丹後市     273      1731      伊根町     272      1745      岩滝町     271      1830     夜久野町     267      1874      瑞穂町     265      1931      三和町     262      1971     野田川町     260      2041      加悦町     257    この、京都府域の市町村の平均所得からわかることは、最低賃金で算出した年収1   44万8832円という収入は、本年1月にお話ししました貧困線によりますと、最   上位の木津町から25位の日吉町までの市町村では相対的貧困になるということです。    最下位の加悦町の平均所得と比較しても、最低賃金で算出した年収は、加悦町の平   均所得(257万円)の56%にしか過ぎません。    尚、京都市の平均所得(354万円)と比較した場合、その40%に過ぎないこと   もわかります。 ■京都市の生計費から見ると・・・    京都市内に在住する人の最低生計費(最低生活の基準ではなく、人間らしい生活を   保障する最低限度の基準)について、京都総評と佛教大学の金澤誠一教授が試算した   モデルがあります。   ◇20代男性の単身世帯(賃貸アパート・1K)       食 費    4万1011円       住居費    4万1250円       被服・履物    7090円       交通・通信  1万2703円       教養娯楽   1万4995円       最低生計費       月額    19万7779円       年額   237万3348円    このモデル試算からわかることは、最低賃金で算出した年収144万8832円と   いう収入は、この最低生計費の61%に過ぎないということです。 ■最低賃金を引き上げることの必要性    このように、現在の最低賃金額は、とても労働者の生計費を考慮したものとはいえ   ないことがわかります。    最低賃金の額を引き上げることによって、労働者が手にする賃金を引き上げること   ができ、その結果として、いわゆるワーキングプアと呼ばれる層を解消することにつ   ながるのではないでしょうか。                     弁護士 小 笠 原 伸 児  



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