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小笠原弁護士の”知っ得”



  

〜金融商品取引法その1

 みなさん、こんにちは  暑い夏を過ぎて、さわやかな秋になるのかなあと思っていたら、厳しい寒さの日もあれ ば、えっ、暖かいやんという日もあって、体調を崩して風邪を引いている方も多いように 聞いています。お元気でお過ごしでしょうか。  さて、今回は、この9月30日に施行されました、金融商品取引法についてお話しする ことにします。この世界については、私は、どちらかと言えば疎い方なので、一緒に学ん でいきたいと思います。 ■ どうしてこの法律がつくられたの?  これまで、日本の法律は、銀行とか証券会社とか保険会社なんかが提供する、いろんな 預金だとか、投資信託だとか、株式だとか、社債・公債だとか、保険などのいわゆる金融 商品については、証券取引法とか、金融先物取引法など、業態別に法律を定めて金融の秩 序を維持してきました。  ところが、銀行とか、証券会社などの金融機関を監督する官庁と監督される事業者が癒 着して、様々な不祥事を巻き起こしました。  そこで、こうした金融行政の不正・癒着をなくするため、法律面では、銀行や証券会社、 投資信託会社などの事業者を監督するための法律を一本化することにしました。それが金 融商品取引法です。  と同時に、金融技術の発達によってデリバティブやM&A(企業の合併・買収)という 新しい金融商品や金融取引が登場してきました。デリバティブって何?って感じですが、 取りあえず話を進めて、こうした新しい金融商品や金融取引に対して、これまでの法律の 枠組みでは規制の働かない事態になってきたため、幅広い金融商品を対象とする新しい法 律の枠組みが求められるようになってきました。それが金融商品取引法です。  金融商品取引法は、これまでの証券取引法を母体としつつ、その改正をする形で成立し ました。 ■ この法律がめざすものは何?  こうした法律の制定過程からもわかりますが、この法律は、ひとつには、投資性のある 金融商品を取引する際の利用者つまり投資家を保護しようという目的をもっています。そ の意味で、この法律が施行されるということは、これまでの事業者のための金融行政から 利用者のための金融行政へと、転換をはかろうということです。  もうひとつは、金融分野の規制緩和が進展して、新しい金融商品や金融取引が登場し、 その健全な発展をはかるために、金融商品を取り引きする市場を、できるだけ透明で公正 な市場にしようということです。 ■ 今回はこれまでにします。  やっぱり、金融や経済の話は、法律の話とは違ってスムーズに行きませんね。  それって、私だけでしょうか。                     弁護士 小 笠 原 伸 児



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