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小笠原弁護士の”知っ得”

  

〜金融商品取引法その3

 みなさん、こんにちは!  ようやく京都の冬も、らしくなってきましたが、みなさん、お元気でお過ごしのことと 存じます。  さて、今回も、前回に続いて金融商品取引法についてお話しすることにします。 ■ 金融商品取引法の施行によって金融商品販売はどのように変わりそうですか?   投資家保護の規制によって、事業者による金融商品の強引な販売は、次第になくなり  そうです。また、説明義務が強化されていますので、投資家の判断能力に応じた金融商  品販売が進むことが期待されています。   こうして、個人投資家が投資をしやすい環境が形成され、また、今の低金利状態が続  きますと、投資信託や株式にお金が流れやすくなり、そうした動きを促すことになりま  す。   もっとも、事業者に課せられたリスク説明義務によって、ハイリスク商品の販売にブ  レーキがかかることが予想されます。投資家保護は規制強化でもありますので、その結  果として、金融商品を販売する事業者がこれまで以上に萎縮するかもしれないからです。 ■ 課題は?   金融商品取引法の対象は、これまでの法制の隙間を埋める、投資性のある金融商品、  例えば、外貨預金、デリバティブ取引、変額年金保険等ですが、一般の預金や保険は対  象外とされました。   ところが、保険については、複雑な特約付きの商品をきちんと説明せずに販売してお  いて、保険金の支払いが必要になっても保険金を支払わないという、不払い問題が発生  しています。   また、海外の商品先物取引は対象となっていますが、国内の商品先物取引は対象とな  っていません。しかし、従来から、商品先物取引はハイリスク商品であり、事業者と個  人投資家との間の紛争が絶えません。   このように、対象外とされた保険や国内の商品先物取引は、投資家保護の観点からす  るならば、金融商品取引法の中できちんと位置づけるべきだったのではないかといえま  す。 ■ 今回は、経済関連法でもあり、とりあえずの紹介になりましたが、他方では、消費者  被害に関連する分野でもありますので、少しづつ、私も勉強しようと、心に決めた次第  です。                     弁護士 小 笠 原 伸 児



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