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小笠原弁護士の”知っ得”

  

特定住宅瑕疵担保責任履行確保法 その1

 みなさん、前回はほとんどの人が手軽に購入して利用している自転車の法的問 題についてお話ししてきました。  今回からは、一生に一度購入するかしないかの高額な買い物であるマイホーム に関して、近時、特に注目されている瑕疵担保責任(かしたんぽせきにんと読み ます)の履行確保に関する法律についてお話しすることにします。 ■ 瑕疵担保責任について 住宅を新築する建設工事の請負業者や新築住宅の売主は、その新築住宅に瑕疵 (わかりやすく言うと「欠陥」とか「きず」のことですね)があった場合には、 建設工事の発注者や新築住宅の買主に対して、いわゆる「瑕疵担保責任」を負い ます。  この責任の具体的な内容は、発注者や買主から、瑕疵修補(欠陥の補修工事で すね)を請求されたり、損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりすること です。 ■ 建設工事の請負業者が負担する民法上の瑕疵担保責任について 民法は、発注者が建物建設工事の請負業者に対して瑕疵担保責任(補修工事や 損害賠償を請求すること、契約の解除はできません)を追及することができるの は、その建物の引渡しを受けてから、その建物がいわゆる耐火構造の場合には 10年間、木造の場合には5年間と規定されています。 もっとも、この期間は発注者と請負業者との間の請負契約によって短縮するこ とができるとされていますし、現に、一般の請負契約書では「引渡しから2年間」 とされていることが多いようです。 ■ 建物の売主が負担する民法上の瑕疵担保責任について 民法は、建物(新築住宅に限りません)の買主が売主の瑕疵担保責任(損害賠 償請求や契約解除のこと)を追及できるのは、買主が建物の瑕疵の存在を知った 時から1年以内に限られています。 この規定についても、売主と買主との間の売買契約によって異なる内容にする ことができるとされており、現に、中古住宅の場合には「売主は瑕疵担保責任を 負わない」旨の条項が盛り込まれていることが多いようです。                     弁護士 小 笠 原 伸 児



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