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小笠原弁護士の”知っ得”

  

特定住宅瑕疵担保責任履行確保法 その3

 みなさん、前回は、住宅品質確保法によって新築住宅の基本構造部分につ いて10年間の瑕疵担保責任が義務づけられたこと等をお話ししました。  今回から、いよいよ特定住宅瑕疵担保責任履行確保法についてお話しする ことにします。 ■ 住宅品質確保法上の瑕疵担保責任履行についての対策の経緯 前回お話ししたように、新築住宅の基本構造部分について、売主や請負業 者の瑕 疵担保責任が強化されました。  ところが、2005年(平成17年)11月に、住宅の構造計算書偽装事件が発生 し、売主や請負業者が倒産して資力がなくなってしまったために、瑕疵担保 責任が履行されないという重大な問題が発生しました。 いくら買主や発注者に瑕疵修補請求や損害賠償請求などの権利があるとし ても、売主や請負業者がその履行をするために必要な資力的な裏付けがなけ れば、その権利は絵に描いた餅になってしまうのです。 そこで、2006年6月に建築基準法や宅地建物取引業法の一部改正、同年12 月に建築士法の一部改正が行われました。 しかし、これらの法改正によって売主が瑕疵担保責任の履行のための措置 の有無を開示したとしても、それ自体が買主や発注者の実質的保護にはつな がらず、売主や請負業者に資金的な裏付けを用意させる必要性が高まりまし た。 ■ 特定住宅瑕疵担保責任履行確保法について 国土交通大臣の私的諮問機関である住宅の瑕疵担保責任研究会は、瑕疵担 保責任履行の実効性を確保するために、どのようにして資金的裏付けを用意 させるか、どのような方法が適切かについて検討しました。 そして、その研究会の提言をもとに、2007年(平成19年)5月、特定住宅 瑕疵担保責任履行確保法が成立し、2008年(平成20年)3月、同法は施行さ れました。  住宅瑕疵担保責任保険法人(同法第4章)の指定(同法17条)や特別紛争 処理体制の整備(同法第5章)については2008年(平成20年)4月に施行さ れ、新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履行するための資力確保の 義務付けについては2009年(平成21年)10月に施行されます。  次回から、特定住宅瑕疵担保責任履行確保法について具体的にお話ししま す。                     弁護士 小 笠 原 伸 児



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