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岡根弁護士のぼやき論壇

  

遺言について〜その4 公正証書遺言

1 最も簡単にできて費用のかからない遺言は、以前紹介した自筆証書  遺言です。   ですが、自筆証書遺言は、簡単にできる反面、安全性等については  あまり期待のできるものではありません。   遺言の内容を実行に移すには、必ず検認手続きがいるというのもい  ただけません。   そこで、少々の手間と費用はかかりますが、安全性や実現のしやす  さから言うとやはり公正証書遺言に勝ものはないと思います。 2 公正証書遺言をするには、2人以上の立会人(証人)とともに公証  人役場に行き、「こんな遺言をしたい」ということを公証人に話をし  ます。その内容を公証人は書面にして、遺言者と証人に間違いがない  かを読んで確認します。そして、これで間違いがないと確認したら、  それぞれ(遺言者と証人)が署名と押印をします。   作成する内容が決まっているようなときには、あらかじめ公証人に  遺言の内容を示しておくこともあります。   弁護士が関わるような場合は、たいがい、遺言の内容を遺言者と確  認の上、書面を事前に公証人に渡しておくようにしているのではない  でしょうか。   この後、公証人が、公正証書遺言のための正しい手続きにより(遺  言)証書が作成されたということを記載して、証明押印をして完了し  ます。この書面は、遺言者に交付されるとともに公証人役場でも保管  しますので、紛失などの危険がかなりな程度消失することになります。   少し気がかりなのは、証人の立ち会いが必要なので、証人から遺言  の内容が他の人に漏れる可能性が残ることです。   この点、弁護士に依頼すると、事務員が立会人の資格を持っている  ことが多いので、事務員が立会人となると職業柄「守秘義務」をおっ  ていますから、内容面での秘密も確保できます。   なお、代理人も公正証書遺言を保管することになりますので、3カ  所で保管されていることになります。 3 遺言者が、病気入院中で動けない、というようなときには、公証人  に病院まで来てもらって作成するということもできます。 4 ところで、公正証書の遺言を作成したからといって、遺言作成者が  その内容に拘束されることはありません。   たとえば、住居を遺言の対象にしていたとしても、それを売ること  も何ら支障はありません。   また、内容について気が変われば、新たに遺言書を作成すればすみ  ます。以前作成した遺言の抹消などは必要ありません。内容が両立し  ない場合、新しい遺言書が優先します。   ですので、遺言には必ず作成した日付の記載が求められるのです。                   弁護士  岡 根 竜 介 No.46:ネットカフェ体験
No.45:成年後見制度
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No.43:遺言について〜その3 最も簡単な遺言の方法
No.42:遺言について〜その2 遺言を書くための制限はあるの?
No.41:遺言は子どもたちへの「通信簿」?
No.40:夏山シーズン、山登りで気をつけることは?
No.39:草取り〜農作業はたいへんだ
No.38:死刑制度は残すべきか、廃止すべきか〜裁判員制度その6
No.37:相続欠格、相続廃除
No.36:御所の散策 〜 たくさんの種類の野鳥に会える
No.35:「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とはいったいなに?
No.34:連ドラ「だんだん」〜なんで特別養子縁組をしなかったの?
No.33:えっ! 将来不安で猫殺害?
No.32:麻生首相の読み間違い〜漢字は難しい!!!!〜
No.31:裁判員制度(その5)
No.30:裁判員裁判(その4)模擬裁判
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No.28:捜査の可視化 〜まだ実現してないなんて・・・〜
No.26:闘病?生活 〜強制採尿はやっぱり違法じゃないかなぁ〜
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No.23:飲むなら乗るな、乗るなら飲むな!のはずですが・・・
No.22:密室での取調でしか真実は明らかにならないの?!
No.21:子どもの権利条約と民法
No.20:執行猶予〜〜即決裁判手続きが不幸を生む?
No.19:危険運転致傷罪(不統一な基準?????)
No.18:道路交通法改正(9月19日から罰則強化)
No.17:山登り編(再び2合目に戻って・・・)
No.16:落とし物は取り敢えず警察に届けましょう(遺失物法)
No.15:豪華海外旅行 市会議員が行えば「調査」に早変わり
No.14:自転車による事故と責任
No.13:裁判員制度(その3)〜市民感覚を活かせる「評議」に〜
No.12:「高裁判決を嘆く」
No.11:ああ、勘違い(山登り?編 9合目)
No.10:人の終に関する法規制?
No. 9:刑事司法の原則は何処に行ってしまったの?
No. 8:裁判員制度(その2)〜ほんとにどうなるの?
No. 7:裁判員裁判(その1)
No. 6:高金利引き下げのはずが・・・
No. 5:山登り雑感(1合目)
No. 4:自転車と道路交通法
No. 3:相隣関係
No. 2:少年法改正
No. 1:日野町事件