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岡根弁護士のぼやき論壇

  
  

離婚と子の氏

 やっと離婚が成立、子どもの親権者にも指定されました。離婚によって、氏は、婚姻前 の氏に戻しました(復氏)。ほっとしていたところ、親権者なのに、子どもが戸籍に載っ ていないではありませんか。慌てて変更しようとしましたが、そう簡単ではないようです。 どうなっているのでしょうか。  離婚は、当事者同士の問題ですので、相方とは、離婚により赤の他人に戻っても、子ど もと親との関係はずっと残ります。親権者に指定されなくても、親子の縁まで切れるもの ではありません。  それはさておき、離婚しても、子どもの氏はそのままです。結婚すると、婚姻共同体の 氏は、結婚前のいずれかの氏にしないといけませんので、一方は変更を余儀なくされます。 不公平感は否めませんが、離婚すると、婚姻時に氏を変えた方は、前の氏に戻すか(復 氏)、そのままの氏を継続するか(続称)を選択しなければなりません。仮に、続称を選 択したとしても、離婚時に選んだ氏ですから、子どもの氏(婚姻時の氏)とは一見同じに 見えても、法律的には別物です。  また、子が親と氏を異にしている場合には、子はその親の戸籍に入ることはできません。 そうすると、離婚して親権者に指定されただけでは、離婚を契機に新しく作った戸籍に子 どもを載せることができないことになります。なんの意味があるのかよくわからないので、 改正すべきだと思うのですが、戸籍実務はなかなか変わりそうにはありません。夫婦別姓 も誰が拒んでいるのか、なかなか実現しません。古ーい「家制度」しがみついている人が いるみたいですね。困ったものです。  そこで、子を自分の戸籍に入れようと思うと、「子の氏の変更許可申立」を家庭裁判所 に申し立てて氏の変更が許可される必要があります。  子どもが15歳以上だと、子ども自身が申立をしなければなりません。  15歳未満であると、法定代理人である親権者が申立をします。ですので、親権者に指 定されていると、申立もスムーズにいきます。  さらに注意しないといけないのは、家庭裁判所の許可が出てもすぐに子の氏が変わるわ けではないことです。許可とは別に、入籍届をしないといけないことになります。                            弁護士  岡 根 竜 介



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