この間,毎日バタバタ忙しくて,全然更新できなかった。
今も忙しいけれど,昨日の酷い判決のダメージが内臓に残っていて,仕事をする気にもなかなかなれない。・・・5年越しで関わってきた,「中田労災」事件の判決が,昨日地裁第6民事部であったのだ。
「原告らの請求はいずれも棄却する。以上です」判決言い渡しは,ものの10秒で終わる。満席の傍聴席(廊下には入りきれなかった傍聴人)が,失望のどよめきを漏らす。あまりのことに,私も言葉を失う。
判決文に目を通して,「こんな判決なら中学生でも書ける」と,怒りというか情けないというか,・・・・表現しようもない。
中田労災は,22歳の健康な青年だった中田衛一くんが,2001年6月16日,一週間連続の夜勤明けに突然亡くなった労災事件だ。当時衛一くんが勤めていたトステム綾部工場に対し,衛一くんが亡くなったのは過酷な勤務による過労死だとして,損害賠償をもとめていた事件だ。
弁護団は,108ページの最終準備書面を提出し,丹念に事実を指摘し,衛一くんの突然死の原因は過酷な労働以外に考えられないことを主張した。裁判所がそれに対して行った因果関係についての判断は,わずか6ページだった。
私たち法律家の仕事は,法律と事実の間で「悩む」ことのはずだ。事実を認定する際に,あるいは法律を解釈する際に,どうこの事案を解決すべきか,より深く悩み,その上で選び取った結論(判決)こそが,当事者のココロに響くはずだ。それこそが,真の「解決」だと思っている。
今回の判決には,なぜトステムはタイムカードを設置しようと思えば簡単に導入できたのにあくまでタイムカードを作らなかったのか,過労死でないとすれば,22歳という若さで全くの健康体だった衛一くんが,いったいなぜ,起こしに行った母親が息をしていない息子に気づく,という本当に突然の悲しい死に至ったのか,全く悩みがなかった。
こんな判決なら本当に,誰でも書ける。司法の存在意義はあるのか。またもや眠れない夜だった。