グライダー界における女性の比率は、日本の社会における女性の生存比率に比して著しく低い、といっても過言ではない。
例えば私が属していた某国立大学航空部においては、私が入部した当初、1回生から4回生まで23人の部員のうち、女性は4名だった。そのうち1回生が3名。あとの1人は3回生に1人いるのみ。そして8月を待たず、私以外の女性2名は退部していった。訓練が体力的にきつかったのか、お金ばかりかかって雨が降れば1週間の合宿でほんの数回しか飛べない状況に嫌気が差したのか、やはり木曽川のトイレ等過酷な環境により淘汰されたのか、辞めた理由は心当たりが多すぎて検討もつかない。
当初入部した1回生10人のうち、3回生までで6人が退部し、最終的に残ったのは4人だけだったのだから、別に辞める比率として女性が高いわけではない。そもそも入部しないんである。どうしてだろうか。女性は空を飛ぶことにあまり興味がないというのが一般的傾向なのだろうか。
もっとも、こうした傾向も女性の社会進出が進むに連れて(というのは何ら因果関係がない)改善されてきた。私の次の代は最終残ったのが4人中1人、次の代に至っては6人中4人が女性と一気に増え、心なしか華やかになった。私が4回生になったときには、23人中6人が女性と、23人中2人(学内OBも含めると33人中3人と、その比率はもっと低くなる)だったころからすれば隔世の感だ。
そう、確かにグライダー界は・・・少なくとも私が入学したころの大学航空部は、どちらかといえば男性優位の社会だった。
でも、女性だからこそ得したこともある。女性だからこそ、注目を集める。2回生のとき参加した東海・関西地区の大学対抗新人戦は、始まって9回目の大会だったが、私が女性として初めての優勝者となった。確か30~40人くらいの選手のうち、女性は3,4人くらいだったから、現在の弁護士会における女性弁護士の比率よりもずっと低い。それで優勝すると、何というかやはり、話題性があるのだろう。その後も大会で戦績を収めると、やはり注目度が違うのか、新聞やテレビの取材、N●Tや大阪●スの情報誌やスカイスポーツ専門誌などでも取材をして取り上げられた。大学の体育会5賞の1つにその年に活躍した女性を表彰するというのがあって、表彰されたりもした(歴代大学学長の名前を冠した嫌らしい賞だった)。その当時は、この先空の世界で食べていけたらなどと夢想していたので、取材に対しては、「女性であるということはハンディもあるけど、それを跳ね返せばこうして注目してもらえる。それを活かして、もっと活躍して、グライダーというスポーツをもっと一般の人たちに知ってもらいたい」とか何とか語っていたと思う。「♪わ~かかあ~った ♪何もか~もが~」という曲が聞こえてきそうである。
良いことがあれば当然悪いこともあるわけで、それについては来月また話したいと思う。なぜここで唐突に話が終わるのか。それはこの原稿の締切が毎月20日であり、今現在は20日午後11時58分過ぎであり、私が事務所内でこの原稿を集める責任者であるからどうしても締切を守らないわけにはいかないことに加えて、タクシーで駅まで飛ばしても終電ギリギリの時間であるから大変焦っている、などというクリティカルな状況にある人間がこんな余計なことをつらつらと書いているわけがないので、きっとそれは嘘である。
というわけで(この接続詞に意味はないが)、この続きはまた来月。ちなみにこれで終電を乗り過ごして自宅までタクシーとなると5000円近くタクシー代がかかるのだが、そのお金を誰かが出してくれる、などと言うことはない。大変だ~!