昨日、刑の一部執行猶予制度についての講演を聞いてきました。
同制度の法案は、すでに参議院を通って、現在衆議院で審理中です。
もともと刑務所が過剰収容状況になっている状況をふまえ、被収容人員適正化方策を検討する中で出てきた法案ということです。
いろいろ問題点も指摘されており京都弁護士会では今年度反対の意見書を出しております。
そもそもこれまで実刑であったケースが一部執行猶予となるのであれば、たしかに刑務所の収容人数の減少につながるかもしれませんが、これまで全部執行猶予であったケースが一部執行猶予となるのであれば、かえって収容人数が増えることになります。
当初の検討目的とは異なる結果となる可能性があります。
また、一部執行猶予の場合、保護観察を付けるケースがかなり増えることになることが想定されていますが、現実にこれに対応できる保護司の確保ができるのか、きわめて疑問に思われます。
重要な改正であるにも関わらず、ほとんど話題にもならず十分な検討がなされていないように思われ気になります…。
2012年4月25日 弁護士 黒澤誠司