最近、相続財産はあるのだけれど、相続人がまったくいないケースや、相続人がいるのかいないのか分からないケースの相談を受けることがあります。
こうした場合、そうした方の世話をしてきた方から相談を受けることになります。
この場合、家庭裁判所に対して相続財産管理人選任の申立を行い、裁判所から「相続財産管理人」を選んでもらうことになります。
相続財産管理人は、亡くなった被相続人の債権者等に対して一定期間内に請求をするように官報に公告し、その後、相続人がいるなら一定期間内に名乗り出るようにさらに官報に公告します。
それでも相続人が名乗り出ない場合に、相続人の不存在が確定します。
官報を日常的にチェックする人はいないので、通常は名乗り出る人がないまま相続人の不存在が確定することになります。
被相続人の債権者に対しては、相続財産の中から支払いがなされますが、それでも余剰があった場合、残った相続財産は原則として最終的に国のものになります。
ただ、
①被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の妻や事実上の養子など)
②被相続人の療養看護に努めてきた者(生計を同じくしていなかった親族、友人など)
③その他、特別に縁故があった者(①②に準ずる者)
については、一定期間内に家庭裁判所に特別縁故者として財産の分与を請求することで、被相続人の相続財産の全部または一部を受け取ることができます。
冒頭のケースで相談を受けたような場合は、この時点で特別縁故者として財産の分与の請求をしてもらうことになります。