Q:氏・名の変更は、どのような場合に認められますか。
A:氏の変更については、戸籍法107条1項に定めがあり、「やむを得ない事由」がある場合、戸籍の筆頭者および配偶者が家庭裁判所の許可を得て行われます。
この「やむを得ない事由」の有無については、家庭裁判所が個別のケースごとに判断することになりますが、一般にその氏を継続することが社会生活上著しい支障をきたす場合をいうとされており、例外的な場合でないと認められないと理解した方がよいでしょう。
具体例としてよくいわれているのは、①難読、珍奇な氏であったり、他人との区別がつかないなど、その氏の継続を強制することが社会観念上はなはだしく不当であると認められる場合、②通称氏を長年使用し、その氏の変更を認めないと社会生活上著しい支障をきたすと認められる場合、③婚氏の続称の届出期間経過後に、その婚氏に変更を認めないと社会生活上著しい支障をきたすと認められる場合等があります。
これに対して名の変更については、戸籍法107条の2で「正当な事由」によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならないと規定しています。
名の変更の要件である「正当な事由」については、氏の変更の要件である「やむを得ない事由」より緩やかに解されていますが、家庭裁判所の許可が必要であることは変わりありません。
具体的に変更を検討される場合は、弁護士に相談された方がよいでしょう。
弁護士 黒澤 誠司