Q
父が他界しました。預貯金のみが相続財産だったのですが、相続人間で協議がまとまらなかったため、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をしたところ、「一般調停の扱いになります」と言われました。どういうことでしょうか。
A
遺産分割調停は、未分割の遺産があることが前提です。
ところが、遺産が預貯金のみの場合、相続開始時に銀行に対する払戻請求権が、法定相続分で法律上当然に分割されて各相続人に帰属していると考えられているため、未分割の遺産がないことになります。
遺産分割調停の場合、調停で話し合いがまとまらず不成立となった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が遺産に属する物または権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
しかし、本件のように預貯金のみが相続財産で法律上未分割の遺産がないと考えられる場合は、一般調停として扱われ、話し合いがまとまらず不成立となった場合も、当然に裁判官の判断による審判に移行することはありません。
なお、現金については、有体物であって可分債権ではないから当然に分割されて承継されるものではないと考えられており、ゆうちょ銀行の定額貯金についても、預金から10年間は原則として払戻ができないので、未分割の遺産として扱われます。ややこしいですね。
弁護士 黒澤 誠司