憲法では衆議院と参議院で国会が構成される二院制が設けられています。衆議院とは異なる角度から改めて参議院で審議がなされることで政権与党(権力)の暴走に歯止めをかけて、多様な意見を国政に反映させることが期待されているわけです。衆議院と参議院で意見が異なることは当然憲法の予定している本来の姿なんですが、今年の参議院選挙では、一部政党やマスコミが「決められない政治」からの脱却、「ねじれ国会の解消が争点」などと宣伝・報道し、まるで両院の意見が異なることが悪いことであるかのようなイメージが植え付けられました。その結果、参議院選挙でも自民党が圧勝し、ここぞとばかりに数の力にものを言わせて強行採決の連発を行っています。今世論は特定秘密保護法について慎重審議を求める意見が多数となってきていますが、もし参議院が憲法が本来想定しているように「ねじれ」ていれば、自民党の拙速な審議と強行採決を防ぐ役割を果たすことができるのになぁと残念に思わざるを得ません。参議院議員各位には、後世で「あのとき特定秘密保護法案について賛成した議員だ」と後ろ指を指されないように政党の党議拘束というようなちっぽけなことに捕らわれない見識のある行動を強く期待したいと思います。
- HOME
- 弁護士紹介
- 黒澤誠司
- 黒澤弁護士の“知ってますか”
- 参議院議員各位