最高裁は、司法の「最後のよりどころ」と思っていた。でも、わが国に1つしか存在しない最高裁判所でどのように審理が行われているのか・・・私たち弁護士ですら、実はあまりよくわかっていない。
今朝の朝日新聞の「元最高裁判事 原発訴訟を語る」という記事で、2人の元最高裁判事が原発をめぐる訴訟との関連で、最高裁の審理について述べている。
●園部逸夫さん
「最高裁には、行政庁の言うことを基本的に正しいという感覚がある」「それを理屈立てするために『行政庁の自由裁量』という逃げ道が用意されている」
「もう1つは政治的裁量」「特に最高裁は、地裁・高裁よりも国策的な問題について軽々に判断しにくい」
●元原利文さん
「(原発)事件の詳細はよく記憶していない」「覚えていないのは特別なことではない。」「そういう仕組みなのである」
「全事件の9割以上が(合議が開かれず)持ち回り審理によって『上告棄却』か『不受理』になっていた」
これが日本の三権分立の実態なのだ。最高裁判所だけに行政のチェック機能を求めるのは無理ということだ。これでは、法律家としては割り切れないし、最高裁こそ司法改革の対象とされなければならない。
元原さんは続ける。「原発差止めの下級審判決がもっと多く出ていれば、それに同調する世論も高まり、最高裁ももっと正面からこの問題に取り組んでいたかもしれません」「今後起こされる原発訴訟では、裁判所の判断が大きく変わると予想しています」
とりあえず、最高裁の行政追随の姿勢を変えるには、地裁・高裁段階での国民的運動が大切だということをあらためて痛感した。
2011年11月アーカイブ
久しぶりに週末の天気が晴れたので、11月26日土曜は、奈良県の「山の辺の道」を歩いた。
山の辺の道は、大和盆地がまだ湖だった頃に湖岸にできた道だと言われる日本最古の幹線道路。近鉄天理駅から歩き始め、桜井駅までの約16キロを歩く。集落や、柿畑、ミカン畑など里山風景が広がる道で、途中には、いくつも神社や古墳があり、古代ロマンにあふれる道である。遠く、二上山や金剛山などの眺望も美しい。
でも、ただ歩くだけでは物足りないので、途中、竜王山(586M)にも登る。二等三角点がある広い山頂で、奈良盆地はもとより、京都、大阪まで望むことができた。
山の辺の道のもう1つの楽しみは、お買い物。道のいたる所に無人販売所があり、1袋100円と書かれ、みかん、柿、なす、里芋、ゆずなどがたくさん置いてある。みかんとなすを買い込んで、行きのリュックより帰りの方が重くなってしまった。
今年の山登りは、これで終わりかなあ・・・・
生まれて初めて「料理教室」なるものに行ってみた。
料理は食べるのも作るのも大好きで、料理番組やレシピ本を見て、おいしそうで、かつ簡単そうなものを我流で作ってきた。
昨年、我が家のポストに手作りの可愛らしいチラシが入っていた。
「玄米キッチンsimple-lifeお料理教室」 http://ameblo.jp/viovio-life/
化学調味料を使わず、有機・無農薬野菜・自然の食材を使うというコンセプトがいい、それに教室の場所も近そう・・・・
いつか行ってみたいと思いつつ、なかなか時間が取れなかったが、先日、思い切って参加した。
11月のメニューは、黒ごまとチーズの玄米リゾット、チキンのスイートチリマヨソース、朝採れ野菜のポン酢ジュレサラダ、自家製生地のフルーツピザ。
当日の参加者は私を入れて5名。うち3名は若い30代の女性だったが、先生も含めてすぐに皆うちとけ、談笑しながら、手際の良い先生の指示で、みるみるうちにご馳走ができあがっていく。
完成後、実食。どれも美味。
ピザの生地は、こうやってこねて、発酵させるのね!最近、流行りのポン酢ジュレはこんなに簡単に作れるのね!・・・・
とても楽しいひとときだった。また、参加してみよう。
「店長」という役職名だけつけられて残業代が支払われない、「名ばかり店長」というのがありましたが、今度は「名ばかり裁量労働」です。
裁量労働制を適用され、京都市内のコンピューター会社でシステムエンジニアとして勤務していた男性が、実際は裁量外の仕事をしていたとして、会社に対し、残業代など約1600万円の支払いを求めた裁判で、京都地裁は10月31日約1140万円の支払いを命じました(共同通信)。
裁量労働というのは、仕事の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、労働時間の決定などに関し具体的指示をすることが困難な業務のことを言います。労使であらかじめ定めた時間を働いたものとみなすという制度です。
例えば、研究や開発の仕事などがこれにあたる場合があります。
しかし、判決によると、上記事件では、男性は、裁量が認められないプログラミングや営業活動に従事していたと指摘、裁量労働の「要件を満たしていない」と判断しました。
「裁量労働」制のもとで働いている労働者の皆さん、あらためて自分たちの仕事の内容や仕方をチェックしてみる必要がありますね。
気象予報士の猪熊隆之さんが、山岳気象専門の予報会社「ヤマテン」を長野県茅野市内に設立した(2011年11月16日信濃毎日新聞社WEB)。
猪熊さんは、私が2001年にマレーシアのキナバル山(4095.2M)に登った時にツアーガイドをしてくれた青年。
とても明るく優しい青年で、冬の富士山に登山中滑落して、死にそうになったことなど話してくれたことが今でも記憶に残っている。
その後、重い病気に罹患し、それを克服後、気象予報士の資格を取得、気象予報会社で山の天気予報を担当していた。そして今年10月に独立し、ヤマテンを設立した。
ヤマテンでは、山小屋や旅行会社と契約し、気象データを提供する。また全国15山域の天気を予報し、ウェブサイトを通じて登録(月額315円)した会員に提供。登山中に携帯電話のメールで情報を受け取ることもできるとのこと。
山の天気は、街中の天気とは異なるので、通常の天気予報だけでは正確な情報がつかめない。登山人口も増えると、天候悪化による遭難事故も多発する。山の天気に特化した情報が気軽に得られるのは有り難い。
猪熊さん、頑張ってください。
またまた民主党のマニュフェスト破り。沖縄普天間基地問題、子ども手当・・・そして今回、派遣法改正までも・・・
民主党は、11月14日、国会で継続審議となっている派遣法改正案について、自民党などの反発に配慮して、大幅な修正に応じる方針を固めたと報じられた(京都新聞2011年11月15日朝刊)。
派遣労働者が増え続ける中で、2008年のリーマンショック以降の景気悪化により「派遣切り」が横行し、大きな社会問題となった。政権交代を果たした民主党は、派遣労働者の雇用の安定を掲げ、2010年4月派遣法改正案を国会に提出した。
この改正案自体、労働者保護の観点からは不十分な内容であったが、今回の修正案では、自民党・公明党の主張を受け入れ、仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣や製造業派遣の原則禁止などの規定が削除される。
また、違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用の契約を申し込んだとみなす「みなし雇用制度」の施行は、3年後に延期する。短期派遣の禁止対象も、「2ヶ月以内」から「30日以内」に緩和。
民主党は、マニュフェストで労働者保護の観点からの規制強化を目指したのでなかったのか。
結局、自民党でも民主党でも、二大政党の政権なんて、こんなもん。
そう言えば、TPP問題でも、逆に、自民党は、経団連から「あんたら政権取ったら、TPPに参加するんやろ。今、政府に文句言ったら、自分の手足を縛ることになる」なあんて言われてたよね。
これからの日本はどうなっちゃうんだろう・・・・
昨年11月15日付け当コラムにも書きましたが、11月15日は「いい遺言(いごん)」の日で、11月22日(いい夫婦の日)までの1週間を夫婦遺言週間と呼ぶそうです。
自分で遺言を書く場合には、全文・日付・氏名のすべて手書きし、印を押さなければなりません(民法968条1項)。
この日付を書かなければならないのは、遺言は複数ある場合には日付が新しいものが有効であることや遺言を書いた時に意思能力(遺言能力)があったかどうかを判断する日となるからです。
ですから、いくら遺言としての体裁が整っていても、日付の記載のない遺言は無効となります。
ただ、できるだけ遺言者の意思を尊重するという趣旨で、単なる誤記の場合や、真実の作成日が判明するような場合には、遺言は無効にならないとされています。
例えば、「昭和五拾四拾年」は「昭和五拾四年」の誤記
「正和」は「昭和」の誤記
などです。
でも「平成23年11月吉日」という記載は、日付の記載を欠き無効という判例がありますので、注意してください。
原告寺西笑子さん、快挙です。
過労死などで社員が労災認定を受けた企業名の情報公開を求めたところ、大阪労働局は個人のプライバシー保護などを理由にこれを拒否、その適否が争われた訴訟の判決で、大阪地裁は、11月10日、「不開示は違法」と判断し、労働局の決定を取り消しました(2011年11月11日京都新聞朝刊)。
これまで厚生労働省は、労災認定件数は発表していましたが、企業名は公表しておらず、企業名の情報公開を認めた判決は全国で初めてです。
判決は「社員の病名、職種など、労働局が公開して、一般人が入手できる情報と企業名を照合しても、特定の個人を識別することは不可能」として個人のプライバシー侵害の可能性を否定しました。
また、企業についても「情報公開でただちに取引先の信用を失うなど、適正な企業活動に支障が生じるおそれは認められない」と判断しました。
原告の寺西さんは、過労自殺した亡夫の労災認定及び企業に対する損害賠償を勝ち取る(当事務所の佐藤弁護士もその弁護団の一員でした)とともに、「全国過労死を考える家族の会」の代表として、過労死・過労自殺の労災認定などの運動に取り組んで来られました。京都の方なので、色々な場所でお目にかかることがあります。
過労死などを出した企業名が社会的に明らかになることで、企業はその責任をより自覚し、二度と過労死を出さない健康管理・安全管理を追求すべきです。
11月11日横浜で日本弁護士連合会の業務改革シンポジュウムが開かれ、それに参加したついでに、翌12日、神奈川県の大山(おおやま、1252m)に登ってきた。
前日の冷たい雨とはうってかわって、12日は晴れて10月並みの気候。暑い!
大山は、小田急小田原線伊勢原駅で下車して、バスで大山ケーブル終点まで乗る。
どんな山なのかの事前知識なく出かけたが、電車が伊勢原駅に近付くにつれ、綺麗な山容の大山が姿を現した。
伊勢原駅につくと、駅には大山のパンフレットが置かれ、大勢の登山客がバス停へと急ぎ、人気のある山であることがすぐにわかった。
バスを降り、「こま参道」を上がって行くと、参道の両脇には土産物屋や旅館がひしめいている。
ケーブルに乗れば、6分で標高696mの大山阿夫利神社下社に着くのだが、ケーブルには乗らず、下社まで階段状の登山道を約40分歩いて登る。
どうも私はこの階段が苦手で、足取りは重く、どんどん追い抜かれていく。
下社に着いても、更にここから約90分の登り。やはり階段状の登山道が続く。
足が重い。息が切れる。
やっと頂上に着く。
頂上には大山阿夫利神社本社があり、売店もある。
たくさんの登山客でにぎわっていた。まるで、大阪の金剛山のようなにぎわいだ。でも、この山は、とにかく若い登山者が目立つ。
女性も多く、そのほとんどが山ガール姿。色鮮やか!私も山ガール姿で登ったのだが、なんとなく気恥ずかしかった。
下山は、コースを変えて、見晴台の方へ下る。下山の得意な私は、ここから本領発揮で、走るように下り、前行く人をすべて追い抜いた。
参道脇の旅館で日帰り入浴して汗を流し、道の脇で売っていた大きなみかんをたくさん買って帰路に着いた。
東京都新宿区で路上生活をしていた男性が、生活保護を認められなかったのは違法だとして区を訴えた訴訟で、東京地裁は、11月8日、保護申請を却下した区の決定を取り消した上で、男性の生活保護を区に義務づける判決を言い渡しました(2011年11月8日ashi.com)。
この男性は、2008年5月に路上生活者となり、区に生活保護を申請しようとしました。
ところが、区は、当初はなかなか申請を受け付けようとせず、申請受理後も「稼働能力を活用していない」という理由で生活保護を却下しました。
判決は、一般論として「実際に働いていなくても、働く意思が客観的に認められれば、自ら生活を維持するため努力を尽くしているといえる」と述べ、生活保護を認めるべきと判断しました。
また、この男性については、路上生活者を支援する雑誌を売ったり、ハローワークに通っていた事情などを指摘し、「男性は生活維持のため努力していた」と認め、生活保護の却下は違法と結論づけました。
折しも、厚生労働省は、全国で生活保護を受給している人が今年7月時点で205万495人となり、過去最多を記録したと発表しました。
これほど多く生活保護者を生み出したのは、国の構造改革が根本原因です。国が国民の生活を保護するのは当然であって、難クセをつけて生活保護を認めないのは許せません。
ちなみに、この判決を下したのは、私と同期の裁判官のようです。
最近、久しぶりに漫画を読んでいる。10年ぶり位だろうか。
「岳ーガクー」の単行本。
今年5月に小栗旬主演で映画にもなったが、残念ながら映画は見ていない。
山仲間から「『岳』の漫画は面白いよ」と勧められ、誰か単行本を持ってないかあ・・・と思っていたら、何と、同じ事務所の古川弁護士が持っていることがわかり、15巻全部を借り、今、4巻目を読んでいる。
「岳」は、ビッグコミックオリジナルに連載されている漫画で、島崎三歩(さんぽ)という山を愛する青年が山岳救助ボランティアとして遭難者を救助したりする物語である。
当然、遭難場面もたくさん出てくるし、遭難者が死亡する場面もあるが、「悲惨さ」や「怖さ」よりは、登山者への暖かい思いや山を愛することの素晴らしさがほのぼのと伝わってくるストーリーである。
三歩はどうやって食ってるんだ!?などと野暮なことは考えない。
山はいいよ、山においでよ、と思わず言ってみたくなる漫画である。
2011年6月21日付けのこの法律コラムでお知らせしましたが、東日本大震災の特例措置の期限が迫って来ました。
震災発生3ヶ月前の平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方については、相続するか、あるいは相続放棄するかを考える期間について、
平成23年11月30日まで
延長されることになりました。
特例の対象となるのは、災害救助法が適用されている地域のうち被災地を中心とした9県に被災時に住所を置いていた人です。
もう11月に入りましたので、相続放棄をお考えの方は、期限が過ぎてしまわないよう、速やかに家庭裁判所で手続きを行ってください。
もう11月に入りましたので、
これまで「デモ」というものに参加された方はどのくらいおられるだろう。街中で「デモ」を見かけても、自分とは無関係と思っていた人も少なくないだろう。でも、脱原発を求めて初めて「デモ」に参加する人も増えている。
2011年11月4日付け京都新聞に「デモは市民の意思表示」というタイトルで記事が掲載されていた。
「東京電力福島第1原発事故の発生以降、各地で行われている脱原発デモには多くの知識人が参加。集会や会見などの場で、市民の意思表示の手段であるデモの重要性について、積極的に発言している」
9月末、同月11日に新宿で行われた脱原発デモの際に参加者が公務執行妨害容疑で逮捕されたことを批判する記者会見で、評論家柄谷行人氏は「単に原発に反対するだけでなく、個々人がその意思をデモを通じて表現することが重要だ」と強調した。
更に、柄谷氏は、日本にデモが少なくなってきたことと、これほど地震が多い国に54基も原発がつくられたことには関係があると言う。そんな「人任せ」の作法が、地震大国に世界中の原発の1割以上を集中させるという異常事態を作り出した。
ヨーロッパなどでは、政府の政策などに納得いかないと、当たり前のように「デモ」に参加して意思表示を行い、政策を変えている。
「デモ」や「集会」は、日本国憲法が保障している表現の自由の1つ。民主主義の基本である。
わたしたち一人ひとりの国民が動かなければ、未来は変わらない。