(女性弁護士の法律コラム NO.161)
昨日は、午前10時から午後5時まで、京都弁護士会の両性の平等に関する委員会主催の「マタニティ・ハラスメント110番」がありました。
私も委員として、午前10時から正午まで担当しました。
数日前には京都新聞や毎日新聞にかなり大きな記事が載せてもらえたのですが、午前10時になっても1件の電話もかかりません。
関西テレビ(8チャンネル)からテレビ取材が来られており、お昼前のニュースで報道してもらえるとのことで、インタビューを受けました。
ニュースそのものを観ることはできませんでしたが、午前11時45分以降、3台の電話が一斉に鳴り、テレビニュースを観た方々からの相談がありました。
結局、合計8件の相談がありました。
「現在、育児休暇中だが、復職したら正社員からパートに変わってくれと言われている」
「うちの職場は妊娠したら退職するものと、先輩から言われた」
「産休に入る前に、産休明けに退職してもらうことになったと言われた」
など、典型的な労基法違反、均等法違反の相談が寄せられ、まさにマタニティ・ハラスメントそのものでした。
また、妊娠・出産・育児休業の権利について知らない労働者がたくさんいることも実感しました。
広報が十分でなく、相談件数は多くありませんでしたが、これからも、このような取り組みを行っていきたいと思います。
2014年2月アーカイブ
(女性弁護士の法律コラム NO.160)
一昨年11月から改修工事が進められている宇治平等院の鳳凰堂。
4月3日から内部拝観が再開されるとのこと。
この鳳凰堂中堂の屋根南北両端に据えられている「鳳凰」像。
1万円札の裏にもそれが図柄となっている。
この「鳳凰」像が修復により、約900年前の金色の輝きを取り戻し、報道関係者に公開されたという(2014年2月25日付け京都新聞朝刊)。
平等院鳳凰堂の屋根の上の「鳳凰」像が、実はレプリカだったということは、ある裁判を担当する中で初めて知った(本物は、平等院ミュージアムに保管されている)。
ある裁判というのは、以前にもブログに書いたことがある(2013年2月25日付けブログ)宇治ユニチカ工場のCS2裁判だ。
この裁判は、宇治ユニチカ工場で働いていた労働者が工場内のCS2により、重篤な健康障害を起こし、労災認定を受け、その後、ユニチカ相手に損害賠償請求訴訟を起こしたというもの。
ユニチカの排ガスは、工場内の労働者はもとより、宇治の街中にも排出され、1968年「鳳凰」像はレプリカに変えられたということを知った。
レプリカは再生できても、失ったいのちや健康は二度と戻らない。
平等院の「鳳凰」像は、私にとって宇治ユニチカCS2裁判の象徴であり、必ず原告労働者の皆さんの姿を思い出させる物である。
物は極力持たないようにしようと心がけるようになって、かなりの年月が立つ。
でも、相変わらず、我が家から、なかなか物が減らない。
特にバザーなどに出せない品物として古着と古本がある。
でも、ゴミとして捨てるのは、やはり心苦しい。
古着の方は、最近、京都市と提携した企業が、時期を定めて引き取ってくれることがあり、それを利用することが多い。
古本は、これまでは、専らブックオフを利用していた。
2014年2月18日付け京都新聞朝刊より
「京都市山科区竹鼻地蔵寺南町のNPO法人『山科醍醐こどものひろば』が、古本や書き損じたはがきなどを募っている。東京にある書店(バリューブックス)に買い取ってもらい、その費用を地域の子どもたちの学習支援や福島第1原発事故の府内避難者のために役立てる。」
「昨年3月から始め、1年足らずで6千冊ほど集まった。買い取り額は約15万円になり、養育困難家庭の子どもの食事や入浴、学習補助に使われている」
別に、古本や古着を売って小遣いにしようなどという気持ちはさらさらない。
子育て支援などに役立つなら、こんなに嬉しいことはない。
東京の書店「バリューブックス」のホームページを読むと、チャリティー支援方法も掲載されており、5冊以上であれば、同社が送料も負担してくれるとのこと。
片づけ術では「捨てる」ことが大切と言われるが、ゴミ袋の中に捨てるより、少しでも社会に役立つ方がいいに決まっている。
協力していこうと思う。
※問い合わせは、山科醍醐こどものひろば(075-591-0877)
(女性弁護士の法律コラム NO.159)
日本が攻撃を受けなくても、同盟国などが攻撃を受ければ反撃できるとする集団的自衛権。
その行使容認に向けて、安倍首相は、2月12日の衆議院予算委員会で、次の発言をしました。
「(政府の)最高の責任者は私だ。政府の答弁に私が責任をもって、そのうえで選挙で審判を受ける」
なにか、自分が君主にでもなったかのような発言です。
そもそも憲法は、個人の権利や自由を保障するため、首相はもとより国家権力を制限し拘束するものです(憲法前文、99条)。それが立憲主義の考え方です。
たとえ選挙で多数を取った政権でも、その都度、憲法の解釈を自由に変えることはできないのです。
どうしても変えたければ、憲法96条に定められた正当な改正手続きをふむしかないのです。
このような暴走発言に対し、日本国内よりは、海外の方が鋭く反応しています。
最近のNHK会長や経営委員の問題発言についても、日本国内より海外の方が敏感なのがとても気になります。
国民の多くは、なぜ怒らないのでしょうか?
メディアももっと取り上げるべきです。
「戦争前夜」というのは、このような状態なのか、と不安になります。
他方、全国の弁護士有志でつくる「明日の自由をっまもる若手弁護士の会」は、2月14日のバレンタインデーに合わせ、安倍首相に、憲法学の権威である芦部信喜東大名誉教授の著書「憲法」とチョコレートを贈ったそうです。
さすが若者!なかなかウイットに富んでますね!
(女性弁護士の法律コラム NO.158)
昨年、「離婚・再婚の損得」という特集に惹かれて買った「週刊ダイヤモンド」(2013年9月28日号)に、「後悔しない離婚弁護士選びの目安」という記事も掲載されていた。
「事務所の大きさや知名度が、業界内の評判と必ずしも一致しない」「検索サイトの検索結果も同様」などという文章とともに、「後悔しない離婚弁護士選びの目安」という項には、「事務所の宣伝が派手過ぎない」「若過ぎたり、逆に高齢過ぎたりしない」、「居丈高が話し方をしない」、「性格面での相性が合う」などがあげられていた。
「事務所の宣伝が派手」というのは、テレビやラジオを使って大々的に宣伝をしている債務整理や過払いなどを中心に扱っている大手法律事務所などのこと?
「若過ぎたり、高齢過ぎたり」って一体、何歳のこと?
自分が弁護士として「選んでもらう」立場なのでコメントしにくいが、私としては、「離婚」に限らず、どんな事件でも、「性格面での相性が合う」という点が比較的大切かなと思う。
相談者も弁護士も「人間」である以上、「相性」があり、法律相談を通して、お互い信頼関係が持てるかどうかがポイントになると思う。
実際に、弁護士の法律相談を受けてみて、依頼することに不安を感じるようなことがあれば、何人か他の弁護士の相談を受けてみた上で、依頼する弁護士を決めれば良いだろう。
昨日、家裁での裁判の帰りに時々立ち寄る食堂で日替わりランチを食べたところ、50円アップになっていた。
知らずに前の値段で代金を払おうとしたら、店員さんが申し訳なさそうに「色々、食品が値上がったので、すみません」と言った。
そう言えば、地裁近くの定食屋の昼定食も50円アップとなった。
よく考えれば、消費税率が8%となる4月1日まで、あと45日しかない。
広告やチラシも「消費税率アップ前のまとめ買い」をうたっている。
しかも、5%の税率が適用されるのは、3月末までに注文した商品が納品されることが必要とテレビで報道していた。
自宅や事務所にたくさんの物を保管できるスペースはないが、ある程度は、まとめ買いしておかなきゃね~と思い始めている。
アベノミクスで景気は上向いていると報道されたりするが、ほとんどの人がそれを実感していないのもまた事実である。
物は値上がっても賃金は上がらない、非正規雇用は全雇用者の3分の1を超える・・・・格差がどんどん広がっているだけだ。
こんな社会、なんとか変えないと。
(女性弁護士の法律コラム NO.157)
書店へ行くと、たくさんの種類のエンディングノートが販売されている。
エンディングノートというのは、自分の人生が終わる時に備えて、死後の希望などを書き留めておくノートである。
自分の年齢と職業柄、多少は興味もあるので、手に取ってパラパラと中身を見ることもある。
家族関係、不動産・預貯金・保険などの財産の詳細、葬儀・埋葬方法、親族や友人の連絡先、延命治療に対する希望など、多岐にわたる項目が印刷してあるので、それに従って、自分の希望を書き込んでいけばよく、しかも1冊にまとまるので便利だと思う。
ただ、注意しなければならないのは、「エンディングノート=遺言」ではないということである。
自筆証書遺言は、すべてを自分の字で書き、日付を入れ、署名押印しなければならない。
ノートの中には、「遺言」として効力が生じるよう書き方が指示されているページのあるものもあるが、ノートの印刷された項目に沿って記入していくだけでは、あくまで「備忘録」「希望」という意味しかない。
もし、エンディングノートを「遺言書」としたいならば、是非、弁護士に相談してほしい。