2021年9月24日付け本コラムでもご紹介しましたとおり、20年ぶりに改定された脳・心臓疾患の労災認定の新しい基準の運用が同月15日から開始されました。
この新しい基準によって、1度は過労死ラインに満たないとして労災認定されなかった事案が、一転して労災と認定されました(2021年12月21日付け朝日新聞朝刊)。
厚生労働省によると、労災を認めない決定が取り消され、新基準で認められたのは全国で初めてだそうです。
居酒屋チェーン店の調理師だった男性が脳内出血を発症し後遺症が残ったため、2016年3月に労災申請しましたが、過労死ラインに満たないとして労災認定されませんでした。
しかし、その後、労働基準監督署は、残業時間の平均が直近2~6ヶ月では最大75時間半だったとした上で、「改正認定基準により評価し直した結果、過重業務による負荷が認められた」と判断し、一転して労災と認定しました。
このように残業時間などの過労死ラインだけでなく、身体的負荷などの要因も含めて、新基準によって総合的に判断された結果でした。
過労死ラインに満たなくても総合判断される可能性がありますので、ためらわず労災申請しましょう。