自分の遺産を死後に、慈善団体や自治体あるいはお世話になった医療施設などに寄付したいと考える人がおられます。
そのような場合には、遺言書を書けば、死後でも寄付することができます。
法律的には、これを「遺贈」(いぞう)と言います。
今の日本では高齢者が増加する一方、子どもの数(出生率)は減少しており、相続人がいない高齢者の方もたくさんおられます。あるいは、相続人がいても、疎遠だったり、「相続させたくない」と考える人もおられるのではないでしょうか。
ここで遺言で遺贈寄付をする場合の注意点を少し書いておきます。
・どこの団体に寄付したいか、きちんと書いておきましょう。
・できれば、「すべての財産」と書くよりは、どの財産を遺贈したいか特定した方がいいですね。「すべての財産」と書くと、借金も含まれてしまい、受け取る側に負担が生じる場合もあります。
・不動産については、売れない土地建物や山林などもありますので、生前に、寄付したい団体の意向を尋ねておいた方が良いと思います。そうでないと、せっかく遺言を書いても、「いらない」と言われてしまいますから。
・死後に、寄付を受け取る側と相続人とが揉めないように、相続人の遺留分にも配慮しましょう。相続人がおられる方は弁護士に相談された方が良いと思います。
・遺言書の中に、死後に遺言の内容に従って実行してくれる遺言執行者を指定しておきましょう。これも弁護士に依頼すれば、遺言の書き方も教えてくれ、かつ遺言執行者にもなってくれるでしょう。
次に、私が過去に扱った遺贈寄付のケースをいくつか紹介しましょう。
1つは、東山区のAさんの場合。
遺言書があり、寄付することと遺言執行者の指定はありましたが、寄付先の指定がありませんでした。困った遺言執行者の人が相談に来られ、Aさんが生前お世話になっていた施設を複数選び、遺産であるお金を寄付しました。
2つ目は、伏見区のBさんの場合。
Bさんは、ガンで入院中でしたが、生前、遺言で自宅不動産をその入院先の病院に寄付したいという相談がありました。しかし、その病院が不動産は受け取らないと言われましたので、「どうするか考える」と言われたまま、その後は相談には来られませんでした。
3つ目は、左京区のCさんの場合。
Cさんもガンで、一人暮らしの自宅で闘病中でした。人望がある人で、たくさんの友人らが交代でCさんを看病されていました。
相続人は姪一人でしたが、Cさんは姪以外にも友人にもあげたいし知り合いの団体に寄付もしたいと言われ、公正証書遺言を作成し、私が遺言執行者となりました。
公正証書遺言を作成された時はまだお元気で、公証人役場にも自分で来られましたが、それから2週間後に亡くなられました。
どんな所に寄付したいかは人それぞれだと思います。
ちなみに私は、「遺贈寄付を受けます」という新聞記事を読み、ユニセフ、国境なき医師団、全国こども食堂支援テセンター・むすびえの3団体から資料を取り寄せています。
遺贈寄付を考えておられる皆さん、お気軽にご相談ください。