1. 2023年7月

2023年7月アーカイブ

定年後に嘱託職員として再雇用されたものの、基本給などの賃金が大幅に減額されたのは不当だとして、名古屋の自動車学校に勤めていた男性2人が学校側に定年前との差額分の支給などを求めた訴訟で、2023年7月20日、最高裁は、定年時の6割を下回る部分は「不合理な格差」で違法と判断した名古屋高等裁判所判決を破棄し、審理を高裁に差し戻しました。

 

最高裁は、「基本給の差が『不合理な格差』にあたることはあり得る」とする一方、不合理かどうかは、基本給の性質や支給目的を踏まえて判断すべきとしました。

その上で、同学校の基本給は、勤続年数だけでなく、職務内容に応じた「職務給」や職務遂行能力に応じた「職能給」という性質もあり、基本給の性質や支給目的についての審理が不十分だとして、高裁に審理のやり直し(差し戻し)を命じました。

 

これまで再雇用者の賃金については、定年退職時の賃金の「6割」という数字が一人歩きしていた感がありますが、最高裁は、具体的に職場毎の基本給の性質や目的などを含めて決定することを求めました。

 

 

夏の花 ひまわり

夏の花では、ひまわりが好きだ。

広大なひまわり畑の風景は、何度見ても圧巻である。

 

 

 

私たち弁護士がつけている弁護士バッジは、ひまわりの花がモチーフとなっている。

ひまわりは、太陽に向かって力強く咲くことから「自由と正義」を表しており、花の真ん中の天秤が「公平と平等」を表していることと合わせて、弁護士の理念・あるべき姿を示している。

 

ただ、現在放映中のNHK朝ドラのモデル牧野富太郎によると、ひまわりの花は太陽の動きを追うわけではなく、向日現象は成長が盛んなつぼみの時期に限られるらしい。

さすが日本を代表する植物学者である。観察が鋭い。

 

ところで、ひまわりはウクライナの国花でもある。

昨年3月に、ウクライナ支援も兼ねた映画「ひまわり」の再上映を観に行き、主人公演じるソフィア・ローレンが一面に広がるひまわり畑で夫を探す場面に涙した。

そして500日余り経った今も、ウクライナの戦争はまだ終わっていない。

 

ひまわりの花を心底愛でることができる平和の日々が1日も早く訪れることを願う。

 

 

トラブル続出のマイナンバーカード

別の人の情報が登録されるというあってはならないミスが発生するなど、マイナンバーカードのトラブルが続出しています。

今後点検作業が進めば、もっと次々とトラブルが明るみに出てくるのではないでしょうか。

マイナンバーカードへの「信頼」は大きく失墜し、返納する人も増えています。

 

なぜ、このような「ミス」が発生したのでしょうか?

マイナンバーカードの交付は2016年から始まりましたが、取得するか否かは本来、個人の自由なため、カードの取得は広がりませんでした。2019年1月時点の交付率は12%でした。

そのため、政府は、カードの取得を促すため、2020年9月、2万円のマイナポイント付与を「エサ」としたところ、一挙に国民の77%が申請しました。

推進を急いだため、申請が急増し、今度は、自治体窓口が対応できず、デジタル化を急ぐあまり、本人確認が不十分になっていました。

 

河野太郎デジタル相は、2023年6月25日に行った講演で、「マイナンバー精度は民主党政権が作った制度」で「おまえが始めたんだろ、と言い返したくなる」と言い訳したそうです。

しかし、「民主党政権が作った制度」で文句があるならば、廃止すればいいだけで、多額な税金を投入して推進し、トラブルを発生させたのは、間違いなく今の自民党政権にほかなりません。

 

このようにトラブル多発のマイナンバーカードですが、岸田政権は、2024年秋には現在の保険証を廃止し、保険証とカードを一元化するという方針を撤回しようとしません。

 

そこには、財界の強い要求があるからです。

経団連や経済同友会などの財界は、1990年第半ばからマイナンバー制度の原型となる「納税者番号制度・社会保障番号制度」を求めてきました。

また、財界は、健康保険証とマイナンバーカードの一体化を義務化すべきであるなどと提言していました。

マイナンバーカード制度を徹底活用し、国民に社会保障の給付削減と負担増を押しつけようとするものです。

更に、大量の個人情報が「ビッグデータ」として大企業のビジネス利用ももくろまれています。

 

個人情報保護など基本的人権をないがしろにする現在のマイナンバー制度を廃止しようという声をあげていきましょう。

 

 

 

 

2023年4月6日付けの当ブログで紹介した、町家レストラン「カフェ奏」(カフェかなで)。

 

2023年7月5日、関西テレビの朝の番組「よ~いドン」で、「京町家で味わう!ほっこりランチ」というコーナーに登場した(この日に放映されることは、店主から聞いていた)。

 

「Cafe奏」は、堺町通丸太町下るにある町家レストラン。

故瀬戸内寂聴さんの別宅「羅紗庵」の南隣に位置する。

 

 

ランチは、850円から900円くらいの定食が3種類あるが、テレビで放映されたのは、ランチの中では一番高い「まんぞくセット」(1600円)。

「まんぞくセット」は高いので、これまで食べたことがなかったが、「奏」には、20回ランチを食べるとランチが半額の値段で食べられるスタンプカードがあり、それを使って、今日は、初めて「まんぞくセット」を食べることにした。

 

「まんぞくセット」は、メインのビーフシチューに、おかずが数品つく。あと、食後のプリンと飲み物もつく。

 

 

 

とても美味しかった。文字どおり「まんぞく」した。

 

ヒメサユリというピンク色のユリ科の花が、新潟県の1500M級の山の上に咲いている・・・

 

そんなヒメサユリに会いたくて、7月1~2日新潟県の山(淺草岳と守門岳)に登った。

どちらの山も、花の百名山である。

和名のヒメサユリは、現在放映中のNHK朝ドラ「らんまん」の主人公のモデル牧野富太郎が命名したということを後で知った。

6月下旬から7月初旬という梅雨のまっただ中に咲くので、雨は覚悟の上の登山だった。

 

7月1日は浅草岳(あさくさだけ。1585m)へ。

天候は雨。しかし、九州は線状降水帯が発生するほどの豪雨だったが、幸運にも東日本は昨日までの大雨と異なり、しょぼふる程度の雨が降ったりやんだり。

「新・花の百名山」の著者田中澄江は77歳の時に、このヒメサユリに初めて出会うために浅草岳に登ったという。その日も雨だった。

 

浅草岳は、山の本では初級の山と紹介されている。

山頂は、福島県と新潟県の両県にまたがる。

今回のルートは、新潟県魚沼市のネズモチ平登山口からの往復。標高差715m。

でも、最近山歩きをサボっていた身体には、嘉平与ボッチ(1485m)手前の急登がとてもつらく、息絶え絶えとなった。

 

嘉平与ボッチを過ぎると、登山道はなだらかになり、灌木や草原の中の木道を進む

やがてヒメサユリが現れた。雨に濡れたヒメサユリもまたいい。

 

 

 

翌2日は、新潟県の山、守門岳(すもんだけ)。

守門岳は、袴岳(はかまだけ。1537m)・青雲岳(あおくもだけ。1490m)・大岳(おおたけ。1432m)の3つのピークから成り、主峰の袴岳の標高が守門岳の標高となっている。

今回のルートは、大白川登山口から保久礼小屋までの縦走。

登り始めから、コース上、最も傾斜がきつい急登が始まる。でも、昨日も歩いて身体が順応したせいか、この日はさほどきつさを感じなかった。

 

山頂の袴岳から少し下り、高層湿原の青雲岳で昼食をとった後、大岳に登り返す。

そして、そこがヒメサユリの群生地だった。ピンク色が青空に映える。

 

 

 

大岳から見た袴岳。

 

 

 

田中澄江は、著書で次のように書いている。

「ヒメサユリは・・・かわいいというよりはたくましい感じである」

「高山植物が何故平地の花より美しいか。地味のやせた岩礫地帯に、風雪をしのいで精いっぱい咲くからだと聞いた。」

 

翌3日は、両足のふくらはぎがパンパンに腫れたが、素晴らしいヒメサユリとの出会いの旅だった。

 

 

 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP