財界人の中にも、戦争は二度と繰り返してはならないとの思いから、自らの戦争体験を語り、憲法9条を守れと、積極的に発言、活動されている人がいる。(2011年9月13日付け毎日新聞朝刊)。
品川正治さん。87歳。
日本火災海上保険(現、日本興亜損保)の社長、会長を経て相談役。現在は、経済同友会終身幹事。
全国の「9条の会」などで講演されているが、自分の戦争体験を細かく話せるようになったのは、ここ数年という。それは、「品川、助けてくれ!品川、品川・・・」と連呼して戦死した戦友のことが大きなトラウマになっていたから。2008年、松江の講演会で、その戦友の村の人たちに手をついて謝り、皆も泣きながら話を聞いてくれたことにより、そのトラウマは消えた。
品川さんの息子は、12年前、49歳で癌のため死亡。当時、小6の1人娘が残された。ノート10冊分の遺書が品川さんに託され、「娘の誕生日ごとに1冊ずつ渡してほしい」と書いてあった。そして17歳のノートには「もうあなたは戦争のことを知らないとけない。おじいさんに戦争の話を聞きなさい」と書いてあった。
息子は父の考え方、行動をしっかり見ていた。
品川さんの結びの言葉。「東日本大震災が起きました。日本は大きな岐路に立っています。まだまだ考えなければならない。声を上げていかなければならない。老いるのは、もう少し待ってもらいましょう」
品川さんからすれば、私なんて、まだまだひよっこ。「しんどい」なんて言っていられないな。
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