1. 元最高裁判事 原発訴訟を語る
ブログ マチベンの日々

元最高裁判事 原発訴訟を語る

 
最高裁は、司法の「最後のよりどころ」と思っていた。でも、わが国に1つしか存在しない最高裁判所でどのように審理が行われているのか・・・私たち弁護士ですら、実はあまりよくわかっていない。
 
今朝の朝日新聞の「元最高裁判事 原発訴訟を語る」という記事で、2人の元最高裁判事が原発をめぐる訴訟との関連で、最高裁の審理について述べている。
 
●園部逸夫さん
「最高裁には、行政庁の言うことを基本的に正しいという感覚がある」「それを理屈立てするために『行政庁の自由裁量』という逃げ道が用意されている」
「もう1つは政治的裁量」「特に最高裁は、地裁・高裁よりも国策的な問題について軽々に判断しにくい」
 
●元原利文さん
「(原発)事件の詳細はよく記憶していない」「覚えていないのは特別なことではない。」「そういう仕組みなのである」
「全事件の9割以上が(合議が開かれず)持ち回り審理によって『上告棄却』か『不受理』になっていた」
これが日本の三権分立の実態なのだ。最高裁判所だけに行政のチェック機能を求めるのは無理ということだ。これでは、法律家としては割り切れないし、最高裁こそ司法改革の対象とされなければならない。
元原さんは続ける。「原発差止めの下級審判決がもっと多く出ていれば、それに同調する世論も高まり、最高裁ももっと正面からこの問題に取り組んでいたかもしれません」「今後起こされる原発訴訟では、裁判所の判断が大きく変わると予想しています」
 
とりあえず、最高裁の行政追随の姿勢を変えるには、地裁・高裁段階での国民的運動が大切だということをあらためて痛感した。
 
 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP