今朝の朝刊とNHKニュースで、原田正純先生が6月11日亡くなられたことを知った。
原田先生は、熊本大学大学院時代に水俣病と出会い、一貫して患者の立場から研究を続けてきた医師である。2011年2月には、地球環境保全に貢献する人をたたえる「KYOTO地球環境の殿堂」を受賞された。
原田先生と言えば「水俣病」であるが、実は他の職業性中毒の研究もされている。
私は、1987年3月、宇治ユニチカ工場で働く労働者が二流化炭素中毒に罹患したのは使用者に責任があるとして、企業ユニチカに損害賠償を求めた裁判の弁護団の一員として加わった。
その裁判で、熊本の興人八代工場で起こった二流化炭素中毒に関わってこられた原田先生に労働者側証人としての証言をお願いし、私がその尋問担当者となったため、打ち合わせに熊本のご自宅に伺ったことがあった。
ちっとも偉ぶらない優しいお医者さん。
しかし、その証言となると、とても説得力があり、企業側弁護士の反対尋問もことごとく論破し、訴訟に大きく貢献していただいた。
原田先生は、2011年5月25日付け朝日新聞で、原発のことについても「水俣病では、政府も産業界も学者も、安全性の考え方を誤った」「50年たっても教訓は生かされていない」などと鋭く国や産業界、学会の姿勢を批判されていた。
大飯原発が再稼働されそうな今、本当に心残りだっただろう。
原田先生の遺志を継ぐのは私たち。
ご冥福をお祈りします。
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