昨晩のNHK「クローズアップ現代」は、ガンなどによる1年間の闘病生活を経て、再び「書くこと」を開始され、5月15日93歳を迎える瀬戸内寂聴さんが出演されていた。
お元気そうなお顔を拝見して、とても安心した。
苦しい闘病生活の中で、自分で「痛み」を経験してこそ他人の痛みがわかると語っておられた。
そう言えば、医師の早川一光先生も、これまで何人もの患者さんをみとってきたが、自分がガンになって初めて「死の恐怖」を感じたと言われていた。
そんな瀬戸内さんが、2015年5月10日付け京都新聞朝刊1面の「天眼」という欄に、次のような記事(談話?)を寄せておられた。
それは、50代の女性からの手紙による相談。
一人息子が大学卒業後、就職活動をことごとく失敗し、鬱状態に。
夫も自分も87歳の姑も息をひそめるような暗い日々を送っていた。
ところが、ある日から息子の様子が別人のように明るくなり、自衛隊に入隊したという。
しかし、誰よりも孫を愛していた姑は、「殺される!殺される!」と片手で畳を打ちつづけながら泣いた。
その後、姑は、孫は、やがて戦争にかり出され、戦死するだろうと、ノイローゼになり、寝たきりになってしまった。
格差社会の典型のようなアメリカでは、多くの貧困家庭の若者が兵隊となり、戦地に赴くと何かで読んだことがある。
格差が広がりつつある日本でも、就職できない、あるいは使い捨ての非正規でしか働けない若者が自衛隊に入隊していくのではないだろうか。
折しも、昨日、政府は安保法制を閣議決定した。
憲法の根幹を揺るがすような法案を、アメリカで安倍首相は7月までに成立させると宣言した。
祖母の危惧は現実化してきているのだ。
瀬戸内さんは「彼女の愛孫は、われわれ国民がもっと必死になって力を合わせ、9条を守り抜こうとしない限り、やがて戦争にかり出され、外国人を殺し、自分も外国人に殺されるはめになるであろう」と語る。
私たちが、もっともっと必死になって憲法9条を守らなければならない時が今、来ている。
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