1. 科学者は社会活動して一人前~益川敏英さん~
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科学者は社会活動して一人前~益川敏英さん~

 
2008年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん(現在は京都産業大学教授)。
その益川さんが、2015年12月8日と9日の2回に分けて、京都新聞の「戦後70年 わたしの軌跡」というシリーズに「科学者は社会活動して一人前」(8日)と「まず人間として人類を愛すべき」(9日)というタイトルで登場された。
 
益川さんが学者の道を歩み始めた時から変わらない信念。
「科学技術の成果は人類に役立つこともあれば、害悪もある。だから科学者は研究だけに没頭せず、専門的な知識を持った者として社会に説明する責任がある」
 
そして学生の頃から「二足のわらじをはけないでようでは、一人前じゃねえ」として学級研究と社会活動とを両立させた。
1973年の京都大学助手時代、後のノーベル賞受賞につながる論文を発表した頃も、京大理学部職員組合の書記長として学内を飛び回った。
 
また、2008年12月、ストックホルムでのノーベル賞受賞記念講演では、自らの戦争体験を語った。
ダイナマイトを発明したアルフレド・ノーベルは、正に、科学が戦争の技術として利用されることもあると、そのパラドックスに苦しんだ科学者であり、ノーベル賞の講演こそ、戦争の話をするのにふさわしいと考えたからだ。
 
そして、現在は、「9条科学者の会」でも活動を展開。
恩師坂田昌一さんから贈られた「科学者は科学者として学問を愛するより以前に、まず人間として人類を愛さなければならない」という書に時折目を向け、自らの原点を見つめなおしている。
 
折しも、米軍が2000年以降、少なくとも日本国内の26の大学や機関の研究者に2億円を超える研究資金を提供していたことがわかった。
在日米軍司令部は、「提供は、主に陸軍や空軍など米軍の各組織の科学的な優先順位に基づいている」とコメントしている(2015年12月7日付け東京新聞)。
 
日本の科学者の叡智が軍事技術に利用されているのでは?
益川さんの信念の重みを感じている。
 

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