2ヶ月程前の京都新聞夕刊に、3回にわたり、「米国 取材現場から 死刑と向き合う」というタイトルの特集記事が掲載された。
(日本は絞首刑だが、)アメリカでの死刑方法が薬物注射によるものが多いこと、死刑の場には記者や弁護士・家族などの立ち会いが認められていることなど、これまで知らなかったことが書かれており、とても興味深く読んだ。
そんな折り、8月24日、京都弁護士会主催で、この記事を書いた共同通信社記者佐藤大介さんを招いての講演会が開かれるという案内をもらったので、昨日、参加した。
佐藤さんは、きさくな人柄の記者で、講演の内容も、とても具体的でわかりやすく、勉強になった(下の写真の右側が佐藤さん)。
アメリカは、州によって、死刑を廃止している所、存続している所と異なっているが、総じて、死刑は減少傾向にある。
その背景には、冤罪・死刑執行のトラブル・仮釈放のない終身刑の導入などがあり、また死刑判決自体も減少しているとのこと。
佐藤さんは、テキサス州である死刑囚と面会したことを第2回の記事に書いているが、収容施設にメールで面会を申込み、本人が了解したので、すぐに実現の運びとなった。
日本では、原則、死刑囚の面会は限られた人しか許されておらず、ましてマスコミの人間が面会することなどあり得ないが、アメリカでは、何のコネも使わず、いとも簡単に実現したとのこと。
また、死刑執行がされる時には、記者や弁護士、死刑囚の家族、被害者の家族らが立ち会うことが認められている。
佐藤さんは、400人近くの死刑執行に立ち会ってきたAP通信記者との面談も第1回の記事に書いているが、その記者から、日本では法務省からの発表だけで、「本当に死刑が執行されたのかは、どうやってチェックするのか」と問われたと言う。
アメリカでは、インターネットで、執行された死刑囚の情報は公開されており、誰でも観ることができる。
佐藤さんの話を聞いて、アメリカと比べて、日本が死刑について、いかに国民に情報を公開していないかがわかった。
国が一人の人間の命を抹殺するのに、どうして、その情報が主権者に公開されないのか・・・
死刑制度の是非については、人それぞれ意見が異なり、日本では、おそらく存続という意見が多数ではないかと推測する。
しかし、死刑について議論するには、まず、死刑執行などについての情報が開示されることが、議論する大前提であることを痛感した。
なお、佐藤さんの記事は、インターネットのサイト「よんななニュース」の検索欄に「死刑」と入れると、読むことができます。
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