2017年10月5日は、滋賀県大津市で日本弁護士連合会主催の人権シンポジウムが開催されたので参加した。
参加動機は、第2分科会「情報は誰のもの?~監視社会と情報公開を考える~」で、元CIAのエドワード・スノーデン氏がロシアから映像参加することを知ったからだ。
スノーデン氏は、2013年にアメリカが国民や他国首脳の通信を傍受・監視しているという機密文書を暴露したことで知られる。
このブログでも書いたが(右検索欄に「スノーデン」と入力してください)、今年になって、彼の著作を読み、彼をモデルにした映画「スノーデン」を観、そして彼自身が登場するドキュメンタリー映画「シチズンフォー」も観て、アメリカが密かに収集しているメガデータの存在を知って衝撃を受け、是非一度、実際の声や姿を聞いてみたいと思った。
800人以上入るシンポ会場は、ほぼ満員。
第2分科会は、入場の際、同時通訳機を手渡された。
同時通訳機を使うなんて初めて!
アメリカの元自由人権協会の弁護士スティーブ・シャピロ氏の講演の後、スノーデン氏がインターネット中継で映像参加し、弁護士がインタビューするという形式で進められた。
アメリカの監視システムについては、誰のコミュニケーション(電話・メール・ツイッター・フェイスブックなど)にもアクセスでき、その大量のデータを保管・管理でき、しかもアクセスした痕跡を隠すことができると説明した。
そして、日本もその対象になっている可能性にも言及した。
無差別な情報収集は、愛人の動向や政敵、労働組合、イスラム教徒の監視に利用されている。
また、過度な監視社会は民主主義の危機と言わざるを得ず、日本ではプライバイシーを保護する対策が全く取られていないと警鐘を鳴らした。
特定秘密保護法や共謀罪の成立を批判し、プライバイシーを守ることは自由を守ることであり、監視社会の下でプライバシーを守るためには、政府の振る舞いを常に懐疑的に検証することが重要とアドバイスした。
「情報は誰のもの?」というテーマのシンポジウムであったが、報告者も述べていたが、「情報」は、主権者である国民のものに決まっている。
そして、私たちは、憲法で保障されている思想・良心の自由は、正確な情報が与えられなければ形成され得ない。
「監視」によって一握りの権力者が膨大な情報を把握し、自分の都合良く利用する社会など民主主義に反するものであり、それに抗していかなければならないことは自明である。
メディアも含めて、もっと関心を持たなければいけない大切な問題であると痛感した。
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