京都府舞鶴市での相撲巡業で、土俵上で市長が倒れ、医療従事者の女性が土俵に駆け上がって救命措置を取ったことで、「女人禁制」が話題になっている。
登山をするので、「女人禁制」という言葉を聞いて、すぐに思い浮かぶのは、やはり「山」である。
女人禁制の地とは、令状・寺社・西条などへの女性の立ち入りを禁止した場所のことを指すが、ほとんどの寺社や仏閣に関しての女人禁制の地は、明治5年3月27日の太政官布告第98号「神社仏閣女人結界ノ場所ヲ廃シ登山参詣随意トス」により解除が行われたそうだ。
例えば、富士山は、江戸末期までは2合目までしか女性が登ることができなかったらしい。
立山、白山、比叡山、高野山なども、1872(明治5)年まで女人禁制の山となっていた。
女人禁制が解除されたからこそ、私もあちこちの山の登山を楽しみ、日本百名山も完登できた。
しかし、今も、女人禁制となっている山がある。
それは、奈良県の「大峯山」(おおみねさん)だ。
「大峰山」は吉野から熊野に至る山塊の総称だが、その中の「山丈ケ岳」(さんじょうがたけ)は女人禁制となっており、登山道には立派な「女人結界門」が存在する。
過去には、性差別を訴える女性らが結界門を越えて登山を強行するという事件も起こったそうだ。
当事務所のホームページの「法律コラム:その他」で村井弁護士が「失踪宣告」というタイトルで事件報告を書いている(2014年12月24日掲載)。
村井弁護士が扱った、山に登ったまま帰って来ない男性の失踪宣告事件(危難失踪)の正にその山が「山丈ケ岳」であった。
原審の京都家裁が、「山丈ケ岳」などで遭難するはずがないとして危難失踪を認めなかったため、大阪高裁に抗告した。
そこで、証拠として提出すべく調査のため、山丈ヶ岳に実際に登り、写真も撮りたいが、女性の私を補助者として同行できない・・・どうするか?
「男性の格好をして登るか?」など本気か冗談かわからないような会話が交わされたりしたが、結局、その事件は、現場の写真を提出するまでもなく、大阪高裁で、危難失踪の認定が下され、「強行」することもなく、一件落着となった。
女人禁制には、色々な背景があると思われるが、今の時代、登山に女人禁制は撤廃してもらいたいものだ。
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