言わずと知れた、森下典子さんのエッセイである。
現在、文庫本の売り上げベスト1とのこと。
上映中の、黒木華・樹木希林共演の映画も話題となっており好評。
私は、本を先に読み、それから映画を観た。
「日々是好日」は、森下さんがひょんなことから20歳でお茶の稽古を始めてから24年の間のお茶を通して体験したことが綴られている。
本を読了した時、静かに感動する気持ちを覚えた。
私は森下さんと同世代であるが、大学生の頃、「お茶」は、「生け花」「着付け」などと並んで嫁入り修行の1つとされ、その意味で、私には、習う気持ちなどさらさらなかった。
弁護士になってまもなく、知り合いとなった女性の方からお茶の会のようなものに誘われ1度だけ参加したことがあったが、その時も難しい作法がたくさんある「お茶」を習ってみようとは思わなかった。
その後、どんなきっかけだったかは忘れてしまったが、「お薄」が好きになり、母が持っていた抹茶茶碗をもらい、茶筅と抹茶を買って、自宅で我流でシャカシャカと茶筅でかき混ぜて飲んだりしていた。
それも、ここ数年は、遠ざかっていた。
「日々是好日」の著書には、「『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」という副題がついており、第1章から第15章の中に、森下さんが「お茶」の世界から感じ取ったもの、そして森下さん自身が「お茶」を通じて体験し成長していく様が描かれている。
「世の中には、『すぐわかるもの』と、『すぐにはわからないもの』の2種類がある。・・・すぐにわからないものは、・・・何度か行ったり来たりするうちに、後になって少しずつじわじわかりだし、『別もの』に変わっていく。そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。『お茶』って、そういうものなのだ。
「瀧」と書かれた掛け軸から水しぶきを感じる、
6月の梅雨の雨音と11月の秋の雨音との違い、
水やお湯を注ぐ時の水音のきれいさ、
今という季節を、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感ぜんぶで味わい、想像力で体験する。
「日々是好日」ってどんな意味?
「毎日がいい日」って他にどんな意味があるの?
これが、この本のテーマ。
「第13章 雨の日は、雨を聴くこと」
お茶を始めて15年目。
「雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には、暑さを、冬には、身の切れるような寒さを味わう。・・・どんな日も、その日を思う存分味わう。
お茶とは、そういう『生き方』なのだ」
どんな日も「いい日」。毎日がいい日に・・・
「日々是好日」はそんなメッセージ。
外に出ると、なんとなく、空の色も、空気も、木々の匂いも、水の音も今までと違うように感じる。
そして、無性に「お茶」が飲みたくなってきた。
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