大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島のグランカナリア島に、「憲法9条の碑」があることをご存知だろうか。
「憲法9条」は、もちろん日本国憲法9条である。
私は、もう何年も前に、何か本の記事かエッセイで読んで感銘を受け、当時、憲法問題での講演を依頼された時には、必ず、この遠い異国の地の「憲法9条の碑」のことを紹介していた。
憲法9条の碑があるテルデ市は、スペインがNATOに加盟した時(1082年)、これに反対して非核都市を宣言。その後、9条の平和主義に共感した市長の主導で、公園の一角を「ヒロシマ・ナガサキ広場」と名付け、そこにスペイン語で刻まれた「憲法9条の碑」が設置された。
今朝(2019年6月3日)の京都新聞朝刊に、1972年にグランカナリア島のラスパルマス市へ移住した広島出身の中村寿美恵さんの活動が紹介されていた。
中村さんは、原爆投下の2日前に広島から山口県に疎開し無事だったものの、父と姉は被爆した。
2009年、旧知の高校教師から「広島の歴史を知るあなたから、子どもたちに語ってほしい」と持ちかけられ、「私の話が平和のために少しでも役立てば」と快諾し、以来、30回近くカナリア諸島の高校を巡り、広島で起きた歴史を語り継いできた。
日本では、今、憲法を改正しようとする動きが強まっている。
アメリカが引き起こす戦争に加担することにもなりかねない。
中村さんは「憲法があったから、戦後日本は戦争に直接加わらず、誰も殺傷しなかった。日本にとって大事な盾だったものをなぜなくしてしまうのか」と語る。
いくらIT技術やロボット開発が進んでも、戦争で犠牲になるのは、生身の人間だ。
世界の人たちと共に、本当の平和を追求すべき時代に来ている。
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