1. 「山小屋ガールの癒やされない日々」(吉玉サキ 著)を読んで
ブログ マチベンの日々

 
タイトルに惹かれて読んだ。
山ガールでなく、「山小屋ガール」。
 
私は、日帰り登山でない限り、山で泊まる時には、必ず山小屋のお世話になる。
登山仲間の中には、山小屋における、あの登山者のイビキの大きさや1畳に2~3人が眠る時もある窮屈さが嫌で、テント泊を好む人もいるが、テントやマット・シュラフそして食料などをリュックに詰め込んで担いで登ることを考えると、私には無理!
ということで、必ず山小屋に泊まる。
 
山小屋で働いてみたいと思ったこともあった。
でも、夏の期間であろうと、1ヶ月いや2週間でも仕事を休むことなどできるはずもなく、結局、この年齢まで、一登山者として山小屋を利用してきた。
そんな私にとって、山小屋の働き方は興味津々である。
 
著者の吉玉サキ(よしだま さき)さんは、23歳の時に登山未経験で初めて北アルプスの山小屋でアルバイトをし、結局、トータルで10年も山小屋で働いた。
元々、作家志望だったサキさんは、山小屋を辞め、「小屋ガール通信」という山小屋のエッセイを書き、それがコンテストに入選し、まとめたのがこの本だ。
 
山小屋によって、やり方も色々だろうから、この本に書かれていることがすべての山小屋に共通するわけではないが、スタッフ目線から見た山小屋における「労働実態」や「日常生活」などが垣間見られて面白い。
 
山小屋は、山における宿泊施設だが、山小屋によって規模・収容人数や設備の状況、営業期間も異なる。
基本的には、予約がなくても、すべての登山者を受け容れる。さもないと、遭難してしまうからだ。
部屋は、予約すれば個室がある所もあるが、4~5人部屋から何十人もの大部屋。だから、イビキ攻撃が起こりうる。
水が豊富だったり、温泉が湧き出ているようなことがない限り、風呂はない。
トイレは、最近はどこも綺麗になってきた。
食事は、食堂で食べる。たいていは、ご飯と味噌汁はおかわりができる。
これは、私の「客からの目線」での山小屋の概要。
 
さて、ここからが、サキさんが紹介する山小屋スタッフの日常。
午前4時から朝食出しの準備が始まり、消灯は午後9時。
仕事内容は、
フロント:宿泊受付・売店など
厨房:食事
喫茶:飲料などの提供
設備:食材などを運ぶ・登山道整備など
そして全員で掃除
大きな山小屋であれば、役割分担があるが、小さな山小屋であれば、力仕事は男性ということになろうか。
 
食事は、夏山シーズンの週末だと、100人以上分を作る。
おかずは、業務用の冷凍食品。
最盛期には休みがないが、休暇の時には、下山するか、山歩きを楽しむ。
山小屋が閉鎖している冬の間は、何もしない人、旅に出る人、他のアルバイトをする人など様々。
 
大自然の中で働いていたら癒される?
サキさんは「私は、癒しを感じたことは1度もない」
特に、夏の山小屋は戦場。労働時間が長い上に業務はすべて立ち仕事で、精神的にも肉体的にもボロボロになる。
 
スタッフ用の風呂はある。ただし、寒い!
 
このような日常生活以外に、山小屋での楽しさや濃すぎる人間関係などもたくさん語られている。
 
やっぱり憧れるなあ。
ちなみに、小屋のスタッフの募集年齢は、多くは20代から40代までだが、中には60歳くらいまでと書かれているものもあり、ひょっとすると、まだいけるかな?と思ってしまう私でした。

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