5月3日(月・祝)は憲法記念日。
コロナ禍の折り、各地でZOOMによるオンラインで憲法集会が開催されていたと思う。
兵庫県弁護士会では、憲法記念日記念行事として、「がんになった緩和ケア医が語る 命、家族、仕事について」と題して、関本剛医師の講演をZOOMで行った。
ZOOMが苦手な私だが、関本医師の話がどうしても聴きたくて申し込んだ。
この日だけは、ZOOMがあって良かったと思った。
関本医師は、緩和ケア医の第一人者で、在宅ホスピス「関本クリニック」(神戸市灘区)の院長である。
医師として日々活躍していたところ、2019年10月に自身がステージ4の肺がんであるとの診断を受けた。当時43歳だった。
関本医師は、葛藤しつつも、命ある限り、仕事そして生きることを全力で全うされている。
私の家族は、約2年間の抗がん治療の末、昨年3月に亡くなった。
私は、家族の闘病中そして死後も、がんに関するたくさんの本を読んだ。
がん宣告後も生きようとする力を目の当たりにしたが、やがて緩和ケアを宣告された後、その苦しみやつらさ、悲しさを言葉でぶつけられることはなかった。
どんな思いだったのだろう・・・
1年が過ぎた今も、私も頭の中に時折湧き上がってくる、もどかしさがある。
関本医師が末期がん宣告という葛藤を乗り越えて、決意を新たにされた経緯については、「覚者のことば」をいくつか紹介された。例えば、
柏本哲夫 「人は生きてきたように死んでいく」
関 牧翁 「良く生きることは良く死ぬことなり」
Alfons Decken 「自分でどうにもコントロールできないことを心配しても仕方が無い」
また、必ず訪れる死までの準備として、経済的な準備・家族との交流・葬儀の準備・自分が生きた証を残すなどの項目を掲げられた。
淡々と語られたが、涙なくしては聴けなかった。
強い人だと思った。
そしてこのような緩和ケア医に出会うことができれば、人生の最期も少しは心安らかになれるかもしれないとも思った。
奇跡が起こることをただただ祈るばかりである。