8月5日まで京都シネマで上映されている「83歳のやさしいスパイ」。
夕刊各紙に映画の紹介がされており、すぐに「観たい!」と思った。
スパイ映画ではあるが、アクションや悪者はない。
舞台は南米チリ。83歳のセルヒオという名前のおじいちゃんが主人公。
新聞広告を見て応募し、見事スパイとして採用された。
しかもフィクションではなく、ドキュメンタリー。
ある老人ホームに虐待がないかどうかを潜入捜査する役割のスパイ。
ホームの許可を得て、セルヒオがスパイであることを明かさず3ヶ月撮影したとのこと。
そんな設定が面白い。
セルヒオが相談相手となる美しいおばあちゃん。1年以上家族の面会もなく「孤独」を訴える姿は他人事とは思えない。
私の元依頼者の何人かは老人ホームに入所されていたことがあり、遺言作成などのために面会に訪れたことが何回かあった。
深くその気持ちを聞いたことはなかったが、家族は事情があって離れており、おそらく寂しさを感じられていたのではないだろうかと思った。
ほのぼのとした映画であるが、老人の悲哀も感じさせるものであった。
セルヒオは、間違いなく、世界一やさしいスパイである。