これまで原田マハの小説を読んだことがなかったが、友人に原田ファンがいるので、何冊か借りて読んでいる。
そのうちの1冊が「キネマの神様」。
「キネマの神様」は、映画の方が有名かもしれない。
映画は山田洋次監督作品で、主人公の予定だった志村けんがコロナで突然亡くなったため、沢田研二が主人公をつとめた。
私もこの映画は観た。
小説を読んで、映画とは全くストーリーが違うことを知った。
後でネットを読むと、確かに書いてはあるが、私自身は全く知らなかった。
映画は、山田洋次監督らしい、かつての映画撮影所などを舞台として再現し、ほのぼのとした作品となっていた。北川景子が原節子を思わせるような美しい女優を演じていたことと、沢田研二の声が年齢のわりに若いことが印象に残った。
小説は、とても面白かった。
映画阪と同じように、映画と賭け事にしか興味がない老いた父親ゴウや、その友人で名画座の経営者テラシンらは登場するが、1000万円以上の年収を振って国内有数の再開発企業を退職した娘歩(あゆみ)の目線で小説は進んでいく。
ゴウの映画ブログが海外の正体不明な「ローズ・バッド」の「反撃」にあい、その二人の間で往復される映画批評ブログをめぐって、家族の愛や友情などが展開していく。
そして、最後は、映画は映画館で観よう、と思わせるストーリーであった。