誕生日に、中学時代の友人Mちゃんから、本が送られてきた。
それが、宇野碧(うの あおい)作「レペゼン母」。
なんでも、作者の碧さんは、Mちゃんの高校時代の友人(和歌山在住)の娘さんとのこと。
この作品は、第16回小説現代長編新人賞を受賞している。
物語の軸は、ヒップホップ。主人公は深見明子という64歳のおかん。
ヒップホップと言っても、ダンスの方ではなく、ラッパー同士が即興のラップで相手を「ディス」り合う、つまり罵倒し合う、ラップバトルで、MCバトルともいう。
ダンス好きな私は、50代の頃5年ほど、ストリートダンスを習ったことがあり、そこで初めてダンスバトルという「試合」があることを知ったが、ラップバトルというものもあることをこの小説で初めて知った。
「レペゼン」という言葉もわからなかった。
ネットで検索すると、「represent」(代表する)の略で、ヒップホップ用語。「俺は京都を代表してここにきた」「俺は京都を仕切っている」というように使うらしい。
ストーリーは・・・
明子は夫を亡くし、1人で和歌山で梅農家を営む64歳。
息子の雄大は、家を飛び出し3年以上行方不明のままで音信不通。明子は、息子の再婚相手沙羅と二人暮らし。沙羅はMCバトルに命をかけており、明子も練習につきあったりしていた。
そんな折り、雄大が大麻取締法違反で逮捕とされたとの連絡が入る。面会に言った明子に対し、雄大はMCバトルの香川代表になったので保釈金を出してほしいとあつかましい要求をする。
拒否した明子だったが、考えが変わり、明子も特別枠で雄大が出場する同じバトルに出場することに。
母と息子の対戦はいかに・・・
64歳でMCバトルに出場するおかんなんて、とても素敵。
きっと、碧さんの母親も明子に似たような人なんやろうな、と思わず想像してしまった。
MCバトルというなじみのない世界が描かれていたが、親の気持ち・子どもの気持ちのスレ違い、親子・家族とは何か、言葉で語ることの大切さ、そしてジェンダー平等などを考えさせる、とても面白い作品だった。