コロナ禍の時期には、弁護士という仕事をしていても、「声を出す」ことが少なくなったという自覚があった。同時期に夫が亡くなったから尚更だった。
それで、カルチャーのボイストレーニングも受講した。
CMや小説の抜粋などを皆の前で読む。
意識的に声を出したし、読み方も教えてもらい面白かったが、講師からは個別にあまり注意されなかったので、なんとなく物足りず、現在は続けていない。
今も、仕事の上では、証人尋問の時以外は、さほど意識的にはっきりと大きな声で話したりすることは少ない。コロナのことが気になるので、友人らとの会話も必然的に小さな声になる。
それで、最近では、一人で意識的に「声をはっきり出す」という声筋トレーニングをしている。
1つは、2008年に憲法ミュージカルに出演した時、ボイストレーニングとして覚えた、北原白秋の「五十音」という童謡詩だ。
「アメンボ赤いな、アイウエオ。浮藻(うきも)に小エビも泳いでる」・・・
これがワ行まで続く。
これを、一人で山を歩くときなんかに、周囲に誰もいないと、大声で歌う。
2つ目は、事務所では複数の新聞を購読しているので、朝、事務所で朝刊各紙にざっと目を通した後、朝日新聞であれば「天声人語」、京都新聞であれば「凡語」など一面の下段のコラムを声を出して読んでいる。
これが結構いい。
声を出すことはもとより、朝刊各紙が、毎日、本当に幅広いテーマについてウィットが効いた短文でまとめ書いていることにとても感心する。勉強にもなる。
2023年6月21日付け読売新聞夕刊の「よみうり寸評」には、「声帯が弱ると体の力が3割落ち、よろめいても足を踏ん張れなくなるらしい。張りのある声を保つ工夫は、健康寿命を延ばす源なのだろう」と書かれてあった。
こうして私は、朝から声筋トレと脳トレに励んでいる。