ヒメサユリというピンク色のユリ科の花が、新潟県の1500M級の山の上に咲いている・・・
そんなヒメサユリに会いたくて、7月1~2日新潟県の山(淺草岳と守門岳)に登った。
どちらの山も、花の百名山である。
和名のヒメサユリは、現在放映中のNHK朝ドラ「らんまん」の主人公のモデル牧野富太郎が命名したということを後で知った。
6月下旬から7月初旬という梅雨のまっただ中に咲くので、雨は覚悟の上の登山だった。
7月1日は浅草岳(あさくさだけ。1585m)へ。
天候は雨。しかし、九州は線状降水帯が発生するほどの豪雨だったが、幸運にも東日本は昨日までの大雨と異なり、しょぼふる程度の雨が降ったりやんだり。
「新・花の百名山」の著者田中澄江は77歳の時に、このヒメサユリに初めて出会うために浅草岳に登ったという。その日も雨だった。
浅草岳は、山の本では初級の山と紹介されている。
山頂は、福島県と新潟県の両県にまたがる。
今回のルートは、新潟県魚沼市のネズモチ平登山口からの往復。標高差715m。
でも、最近山歩きをサボっていた身体には、嘉平与ボッチ(1485m)手前の急登がとてもつらく、息絶え絶えとなった。
嘉平与ボッチを過ぎると、登山道はなだらかになり、灌木や草原の中の木道を進む。
やがてヒメサユリが現れた。雨に濡れたヒメサユリもまたいい。
翌2日は、新潟県の山、守門岳(すもんだけ)。
守門岳は、袴岳(はかまだけ。1537m)・青雲岳(あおくもだけ。1490m)・大岳(おおたけ。1432m)の3つのピークから成り、主峰の袴岳の標高が守門岳の標高となっている。
今回のルートは、大白川登山口から保久礼小屋までの縦走。
登り始めから、コース上、最も傾斜がきつい急登が始まる。でも、昨日も歩いて身体が順応したせいか、この日はさほどきつさを感じなかった。
山頂の袴岳から少し下り、高層湿原の青雲岳で昼食をとった後、大岳に登り返す。
そして、そこがヒメサユリの群生地だった。ピンク色が青空に映える。
大岳から見た袴岳。
田中澄江は、著書で次のように書いている。
「ヒメサユリは・・・かわいいというよりはたくましい感じである」
「高山植物が何故平地の花より美しいか。地味のやせた岩礫地帯に、風雪をしのいで精いっぱい咲くからだと聞いた。」
翌3日は、両足のふくらはぎがパンパンに腫れたが、素晴らしいヒメサユリとの出会いの旅だった。