今週金曜日(6月7日)放映の「虎に翼」は、主人公寅子と再会した裁判官花岡が死んだという衝撃的な結末で終わりました。
花岡は、栄養失調で死亡(餓死)しました。
既にネット上で色々と紹介されていますが、実際、1947(昭和22)年に33歳という若さで餓死した裁判官がいました。
佐賀県出身の山口良忠(よしただ)判事でした(1913~1947年)。花岡も佐賀県が出身となっていましたので、山口判事がモデルでしょう。
山口判事は、戦後、東京地裁において、配給食料以外は違法とする食料管理法違反罪などの事件を担当していました。そんな中、山口判事は「経済犯を裁くのに闇はできない」と食事は闇米は食べず、配給だけで賄う生活だった。配給食料の大半も子どもらに与え、1947年8月に栄養失調で倒れた後、同年10月死亡しました。
花岡が桂場に向かって言ったセリフ、「人としての正しさと司法としての正しさがここまで乖離していくとは思いませんでした」が彼の裁判官としての信念を語っていたのでした。
山口判事も、「食管法は悪法だ」しかし「自分はどれほど苦しくともヤミの買い出しなんかは絶対にしない」と日記に書いていたそうです。
世の中には、国会議員がゴリ押しで成立させた「悪法」もたくさんあります。
そのような「悪法」について、私たち弁護士は、時には憲法違反を主張したり、法の趣旨や解釈などから適用場面を制限したりなどして闘ってきました。
働き始めたばかりの主人公寅子が今後このような法律をどのように扱っていくのか、楽しみです。
ちなみに、山口判事は、京都帝国大学法学部出身で、モデルの三淵嘉子さんとは大学も異なり、ドラマのような関係ではなかったようです。