1. 作家佐々涼子さん、逝去
ブログ マチベンの日々

作家佐々涼子さん、逝去

ノンフィクション作家佐々涼子さんが、2024年9月1日脳腫瘍のため、56歳で亡くなった。

 

私が佐々さんの本を初めて読んだのは、当ブログ(2020年9月4日付け)で紹介した「エンドオブライフ」。読み始めて、舞台が京都にある渡辺西賀茂診療所であることを知った。診療所のスタッフらが末期ガンの患者さんたちとどのように関わり過ごしていくのかなどを描いたノンフィクション作品。当時、夫をガンで亡くしたばかりだったので、涙なしでは読むことができなかった。

 

その本を読んで、佐々さんが「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」という作品で、2012年第10回開高健ノンフィクション賞を受賞していることを知った。最近、NHKBSで米倉涼子主演でドラマ化もされた。海外で、災害・事件・事故・病気などで亡くなった場合に、遺体を家族に届けるという仕事がある。それが国際霊柩送還士。佐々さんは、国際霊柩送還士の活動を描く中で、故人の生き様そして家族の死を乗り越えて前に進もうとする遺族の姿を描いた。

 

私がこれまでに読んだのは、この2つの作品だけだが、佐々さんは作家になって以来、ずっと「死」というものに向き合って取材、執筆をされてきた。

 

その佐々さんが脳腫瘍に。

昨年8月27日付け毎日新聞での池上彰氏と佐々さんとの対談記事で、佐々さん自身が2022年11月に悪性の脳腫瘍と診断され抗がん治療を続けていることを知った。そして対談の中で、「『今日は楽しかった』と言えるよう毎日を過ごしています」「人生は長さではない。生きている長さで人の幸せは測れない」「どんなに短くても、生き抜くことが豊かで幸福なのだ」などと語られていた。そして、左半身に麻痺があるが、家族の支えで、病気のことを記録に残したいとも。

 

「死」というものの意味を考えさせてくれる作家だった。果たして佐々さんの遺稿は存在し出版されるのだろうか。

今は、2023年に出版された「夜明けを待つ」を読んでみようと思っている。

 

 

 

月別アーカイブ

弁護士紹介TOP