先日(2025年2月11日付け)の新聞で、「ウサギの島」として知られる広島県竹原市の大久野島で、ウサギを蹴って死なせたり口にはさみを入れたりしたとして、25歳の男性会社員が動物愛護法違反で再逮捕されたという記事を目にした。なんとも痛ましい事件だ。
私は、2024年3月、愛媛の友人らと初めて大久野島を訪れたこともあり、この記事が特に目にとまった。
大久野島は、しまなみ海道からは少しはずれるが、しまなみ海道に近い広島県の島の1つである。周囲約4キロの小さな島である。
約500匹以上が生息するという「ウサギの島」として大久野島は有名で、1度訪れてみたかった。
フェリーで島に到着すると、もう、そこここにウサギがたくさんおり、観光客になれているせいかあまり逃げることもなく、触れたりもできる。
ところで、恥ずかしながら、大久野島を訪れて初めて知ったのが、実は、大久野島が毒ガス製造の島だったということ。そんな「負の歴史」があった。
昭和2年、島全体が陸軍の毒ガス製造を目的として管理下となった。昭和4年には毒ガス製造が始まり、昭和20年まで続けられていたという。日本軍が毒ガスを製造していたことは、昭和59(1984)年まで日本ではほとんど知られていなかった。大久野島は、機密保持のため、地図からも存在を抹消されていた時期もあった。
大久野島には毒ガス資料館もあり、毒ガスの悲惨さや毒ガス製造過程で多くの犠牲者を出すに至ったという歴史などを知ることができる。
是非、行ってみてほしい。
では、大久野島になぜ野生のウサギが生息しているのか?
毒ガス製造実験でウサギが用いられていたようだが、それらは戦後全羽殺処分されたようである。
今生息するウサギは、観光目的で導入されたらしい。