結婚式や披露宴を盛大に行っても、婚姻届を提出しなければ法律上の婚姻は成立しません。社会的には夫婦として生活を続けてきたが、届け出がなされていない場合を「内縁」あるいは「事実婚」と呼びます。
1枚の紙切れの違いかもしれませんが、法律上は不利益も少なくありません。
例えば、夫が死亡しても、内縁の妻には相続権はありません。また、生まれた子どもも母親の戸籍にはいり、父親との関係は「認知」という手続きがなければ法律上発生しません。
ただ、それではあまりに実質的な関係を無視した結果となるので、例えば、正当な理由なく一方的に内縁関係をやめた者に対しては、離婚と同じように慰謝料や財産分与を請求できる扱いになっています。また、労災で死亡した場合の遺族補償年金を受け取ることや厚生年金保険の遺族年金を受け取ることも法律で認められています。
ところで、別に法律上の妻のある男性と内縁関係になった場合はどうでしょう。
このような場合に一般に保護されるのは、法律上の妻とは事実上離婚状態となって婚姻関係が修復する余地のないほど形骸化し、他方、内縁関係の方は事実上婚姻と同様の状態にある場合に限られるでしょう。