1. 過労死企業名の公開を命じる判決
女性弁護士の法律コラム

過労死企業名の公開を命じる判決

 
原告寺西笑子さん、快挙です。
 
過労死などで社員が労災認定を受けた企業名の情報公開を求めたところ、大阪労働局は個人のプライバシー保護などを理由にこれを拒否、その適否が争われた訴訟の判決で、大阪地裁は、11月10日、「不開示は違法」と判断し、労働局の決定を取り消しました(2011年11月11日京都新聞朝刊)。
 
これまで厚生労働省は、労災認定件数は発表していましたが、企業名は公表しておらず、企業名の情報公開を認めた判決は全国で初めてです。
判決は「社員の病名、職種など、労働局が公開して、一般人が入手できる情報と企業名を照合しても、特定の個人を識別することは不可能」として個人のプライバシー侵害の可能性を否定しました。
また、企業についても「情報公開でただちに取引先の信用を失うなど、適正な企業活動に支障が生じるおそれは認められない」と判断しました。
 
原告の寺西さんは、過労自殺した亡夫の労災認定及び企業に対する損害賠償を勝ち取る(当事務所の佐藤弁護士もその弁護団の一員でした)とともに、「全国過労死を考える家族の会」の代表として、過労死・過労自殺の労災認定などの運動に取り組んで来られました。京都の方なので、色々な場所でお目にかかることがあります。
 
過労死などを出した企業名が社会的に明らかになることで、企業はその責任をより自覚し、二度と過労死を出さない健康管理・安全管理を追求すべきです。
 
 

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