(女性弁護士の法律コラム NO.114)
九州電力玄海原発の操業停止を求める裁判の第1回口頭弁論が6月15日佐賀地裁で開かれた。
原告数は計4252人。
15日の第1回弁論には、原告・弁護団合わせて約450人が集まった。
弁護団は、体育館のような広い施設での開催を求めていたが、地裁は警備面などから「秩序だった審理が難しくなる」と拒否。
地裁は、原告側用に45席を確保し、残りの一般傍聴席23席分を376人で抽選することになった。(2012年6月23日付け朝日新聞デジタル)
裁判を受ける権利は、憲法32条で保障された国民の権利であり、通常の民事裁判であれば、たとえ代理人弁護士に委任していても、当事者自身も、弁護士と共に原告席や被告席に座ることができる。
裁判所法では、最高裁判所が必要と認めれば、法廷外で裁判を開くことができるという定めがある(69条2項)が、最高裁によると、原告が多いという理由で法廷外で裁判を開いた例はない。
元福岡地裁所長の蓑田弁護士は、別施設で開催すると、不規則発言が相次ぐ可能性や警備面の不安が高まる、として、佐賀地裁の判断に理解を示すコメントを出している。
でも、裁判所が破産管財事件の債権者集会を開く時、債権者の数が多数見込まれるような事件の場合には、裁判所外の施設で開かれることもある。
そして、荒れる債権者集会も珍しくない。
だから、やろうと思えばできるはず。
2003年に佐賀地裁であった諫早湾干拓事業の差し止め訴訟(当時の原告約600人)では、法廷の音声をワイヤレスマイクで拾って、隣の法廷にスピーカーで流したとのこと。
今回、佐賀地裁は、この方法についても「裁判長の監督が行き届かない」と拒否したという。
国民に開かれた司法をめざすのであれば、当事者が出席を希望した場合には、可能な限り、審理の場に同席できる工夫や努力はなされるべきだと思う。
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