1. レーダー式速度測定機に誤測定の可能性あり。京都の弁護士、逆転勝訴!(大阪高裁)
女性弁護士の法律コラム

 
(女性弁護士の法律コラム NO.139)
 
ミニバイクの速度超過で運転免許を減点されたのは誤りだったとして、京都の男性弁護士が京都府を相手取りゴールド免許の交付を求めた訴訟の控訴審判決が6月27日大阪高裁であり、「測定されたのが他の車両の速度だったという可能性も十分ある」などとして、訴えを棄却した1審判決を取り消し、逆転勝訴の判決を言い渡した(2013年6月28日付け朝刊各紙)。
 
すごい!
当事者である弁護士とその代理人の弁護士に大きな拍手を送りたい。
 
警察のレーダー式速度測定器による取り締まりに不満を持っているドライバーはきっと全国にたくさんいるだろう。
先日、古屋国家公安委員長が指摘したように、警察が最重点ではない場所や危険のない場所で速度取り締まりを行っている、という取り締まりの場所の問題が1つ。
 
それと、そもそもレーダーというのは、本当に正確に測定できるんだろうか?ということ。
 
測定原理は、路側に置いた測定機からマイクロ波を走行車両に投射し、車両からの反射波が車両の速度に比例して偏移するという「ドップラー効果」を応用したものである。
 
この測定で誤差が生ずる原因として様々なことが考えられる。
機器そのものについて言えば、測定機内部の雑音、測定用電波でない外部の電波・雑音によるもの、測定用電波の性質そのものがあげられる。
また、そのほかにも、警察の取り扱い方法上のミス、対象車両の誤認などが考えられる。
 
機器そのものの原因を論ずる能力は私にはないが、実は、警察がレーダーのしくみを知らないまま操作することによる誤測定はかなりあるのではないかと思っている。
 
複数車両が走行している場合、レーダーに表示されるのは速度の数字だけであるから、その数字がどの車両から跳ね返ってきた数字かを特定するのは、人間である警察官なのである。そして警察官は往々にしてレーダーのビームは1本の直線で投射されていると思いこんでいる場合が多く、実はレーダービームには幅があることを認識していない。
 
だから、レーダーの取扱説明書には、複数車両が集団で走行してくるような場合には、測定してはいけないと書かれてある。
そのため、裁判になると、実際には複数車両が存在したような場合でも、警察官は「単独走行だった」と口裏を合わせて証言するのである。
 
今回の裁判でも、警察官はバイクの前後50メートルには車両はなかったと証言したようだが、裁判所はその証言を信用せず、「超過とされた速度は、近くを通過した別の車の車両の速度である可能性も十分ある」と指摘した。
 
実は、私は、弁護士になって5年くらいの時期に、当時、タクシーの労働組合の顧問をしていたこともあって、何件かの速度違反の刑事事件で無罪を争ったことがあった。実際に路上で現場検証したこともあった。
文系出身の私にはかなり難解なレーダーのしくみにぶち当たったため、元レーダー開発の技術者の方などの協力も得て取り組んだが、無罪判決は取れなかった。
 
今回は、民事事件とは言え、立証は決して容易ではなかっただろうと想像する。
京都府は、おそらく上告しない気がするが、もし上告されたら、大弁護団を作って、徹底的に争ったらよいと思う。
 
 

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