(女性弁護士の法律コラム NO.166)
昨日は、所属している法律家団体の例会があった。
「労働政策の動向と労働者保護の法的課題」と題して、弁護士でもある吉田美喜夫立命館大学教授にご講演いただいた。
4月22日、経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議(議長・安倍晋三首相)が労働時間規制の撤廃する制度導入の検討を求める文書を提出するなどの動きもあり、タイムリーな企画だった。
労働基準法で、労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められ、それ以上働いたら残業代を払わなくてもならないにもかかわらず、どんなに長く働いても残業代はゼロにする企てが進んでいる。
第1次安倍内閣の時、財界から「ホワイトカラーエグゼンプション」が提言され、法案化までされたが、国民世論の激しい批判を受け、国会で審議すらできなかった。
それが、またしても、第2次安倍内閣で浮上してきた。
今回は、対象として、年収1000万円以上の高収入社員のほか、高収入でなくても、労働組合との合意で認められた社員を検討するという。
吉田先生は、使用者が労働者から労働力を買うのが労働契約で、その労働力は何ではかるかというと「指揮命令が及ぶ労働時間」である、従って、何時間働いても残業代を払わないことは、もはや「労働力」を買うのではなく、「人間そのもの」を買う=奴隷労働と同じだと語られた。
また、解雇に関する規制もどんどん緩められていこうとしているが、解雇が自由にできれば、労働者は結局、有給休暇や育児休業などの様々な権利を行使したくても、解雇を怖れ、結局、権利行使もできなくなる。
派遣法もどんどん改悪されていっている。
こんな労働者の使い捨ては絶対許してはならない。
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