(女性弁護士の法律コラム NO.169)
集団的自衛権行使容認の論拠として、1959(昭和34)年の砂川事件最高裁判決を援用している政府、自民党。
砂川事件というのは、1957(昭和32)年7月、東京都砂川町(現、立川市)の米軍基地に立ち入った、基地拡張に反対するデモ参加者7人が刑事特別法違反罪で起訴された事件です。
この砂川事件は、1959年3月、第一審の東京地裁が日米安保条約に基づく駐留米軍は憲法9条が禁じた「戦力」にあたるとして無罪を言い渡しました(いわゆる伊達判決)。
しかし、その後同年12月、最高裁は、安保条約や駐留米軍を「司法審査の範囲外」として、一審判決を破棄差し戻し、後に有罪が確定しました。
私たちは、この砂川判決について、大学生の時、憲法の講義で学び、また、法律家を志した後は司法試験の受験勉強でも勉強しました。
内閣総理大臣らの「解釈」によって憲法9条に集団的自衛権を認めるのは立憲主義に反するという国民の批判に対し、最近になって、政府・自民党は、砂川事件最高裁判決が「わが国が存立を全うするために必要な自衛措置を取り得ることは国家固有の権能の行使として当然」としており、集団的自衛権を否定していないと主張するようになりました。
それに対し、当時の砂川事件を担当した弁護士や一審の無罪判決に関わった元裁判官が批判の声を上げています(2014年5月10日京都新聞朝刊)。
5月9日、弁護士らは、東京都内で記者会見し、裁判の主要な争点は日米安保条約に基づく米軍駐留の憲法9条適否であって、わが国固有の自衛権の問題ではなかったことなど、最高裁判決のとらえ方を説明し、集団的自衛権行使の可否について判断も示唆もしていないと指摘しました。
また、一審を担当した元裁判官の松本一郎独協大名誉教授は、「自衛隊は1954年に発足したばかりで、よちよち歩き。米軍を守るといった集団的自衛権は議論にもならなかったし、自衛権と言えば、個別的自衛権だった」と当時を振り返っています。
立憲主義を踏みにじる政府・自民党のやり方は絶対認めることはできません。
私たち弁護士も、大きな反対の声を上げていきたいと思います。
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