(女性弁護士の法律コラム NO.174)
長時間労働の最たる職業の1つが、教員である。
経済協力開発機構(OECD)は、6月25日、中学校を対象に教員の勤務環境や指導状況を調査した国際教員指導環境調査の結果を公表した。
それによると、1週間の仕事時間は日本が53.9時間で、参加した34カ国・地域で最も長かった。
授業時間は参加国平均と同程度だったが、部活動の指導や事務作業に費やした時間が大きく上回った。
「日本の教員は忙しい」と指摘されて久しいが、今回の調査で国際的にも多忙が裏付けられた格好だ。(2014年6月26日付け京都新聞)。
私は、これまでに教員の過労死の公務災害事件にいくつか関わった。
小学校教師のケースが2件(心不全、脳内出血)、中学校教師のケースが1件(脳内出血)あった。
教員の場合、そもそも所定の勤務時間内では、授業の準備やテストの採点、資料作りなどをする時間はなく、学校に残って残業するか、自宅に持ち帰って処理しているのが常態化している。
また、学校内外の会議への参加、校務分掌や校内の事務処理などもあり、放課後や休日さえも部活の指導や試合の付き添いなどの仕事がある。
しかし、それに見合った残業手当さえ支払われない。
それでも、裁判になると、それが「通常の仕事」「他の教員もしている」「命令していない。自分が好きでしている」などと主張して、公務災害と認めようとしない。
教員自身がブラック企業で働いているようなもの。
過労死が社会問題化してから既に20年以上の歳月が経過している。
でも、教育現場は、ますます教員にとっても過酷になっているのではないだろうか。
教員自身が過重な仕事でフラフラになりながら仕事をしており、そんな中で、子どもに対し、きめ細かい豊かな教育はできないと思う。
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