(女性弁護士の法律コラム NO205)
日本航空の女性客室乗務員の神野知子さんが、妊娠中に地上勤務での就労希望を却下されて無給休職を命令されたのは、男女雇用機会均等法や労働基準法に違反するマタニティハラスメントだとして、2015年6月16日、東京地裁に休職命令の無効と未払い賃金などを求めて提訴しました(テレビ・新聞報道)。
日航には、妊娠中、休職するか、地上勤務に転換するかを選択できる「産前地上勤務制度」があります。
しかし、2008年、会社は「生産性の向上」を口実に、地上勤務は「会社が認める場合に限る」と規定を改悪しました。
妊娠した神野さんは、昨年8月25日、産前地上勤務を会社に申し出ましたが、会社は「空いているポストがない」として9月から休職を命じました。
休職中は、無給となり、勤続年数にも反映されません。
日航は、2008年6月、厚生労働省から、子育てサポート企業「くるみん認定」を受けています。
また、経済産業省からは、今年3月、女性活躍推進に優れた上場企業「なでしこ銘柄」に認定されています。
ところが、実は、「くるみん認定」を受けた2ヶ月前の2008年4月に、前記したとおり、産前地上勤務制度を改悪していたのです。
労働基準法65条3項では、妊娠中の女性労働者から請求があれば、軽易な業務に転換させなければならないとされています。
また、男女雇用機会均等法9条3項では、妊娠、出産等を理由とした不利益取扱いを禁止しています。
日航には、妊娠した客室乗務員に与えるべき「軽易な業務」がないのでしょうか。
マタハラを許さないこの裁判は、日航だけでなく、すべての女性労働者につながる重要な闘いだと思います。
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