(女性弁護士の法律コラム NO.211)
1961(昭和36)年3月に起きた名張毒ぶどう酒事件の死刑囚奥西勝さん(89歳)が、10月4日死亡と報道された。
奥西さんは、長年、再審無罪を訴えて来られたが、結局、存命中には、その扉は開かなかった。
さぞかし無念だっただろう。
心からご冥福をお祈りします。
ところで、こうした「えん罪」が強く疑われる事件の再審請求を支援しようと、国内の研究者たちが、来春4月、立命館大学を拠点にネットワークを立ち上げる(2015年10月3日付け京都新聞夕刊)。
米国では、1992年から「イノセンス・プロジェクト」が始まっており、受刑者の無実の訴えに基づき、学者やジャーナリスト、弁護士らが新証拠を収集。
DNA鑑定などの新技術や従来の構図と異なる観点を基に事件の問題に光をあて、死刑囚を再審無罪につなげた例もあるとのこと。
同様の試みは、フランス、オーストラリア、台湾など国際的に広がっている。
現在、立命館大学以外の心理学者や法学者、弁護士も関与しながら、「日本版」の制度設計が進んでいるようだ。
このような新しい動きに、大いに期待したい。
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