(女性弁護士の法律コラム NO.217)
昨年12月、私が所属している弁護士グループの主催で、「マイナンバー制度の問題点」の勉強会が開催されましたので、参加しました。
講師は、日本弁護士連合会情報問題委員会委員長の坂本団弁護士(大阪弁護士会所属)。
坂本弁護士は、マイナンバー制度の問題点を非常にわかりやすく解説され、勉強になりました。
マイナンバー法の正式名称は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」。
マイナンバーというのは、あくまで行政機関における事務を効率化するための制度で、民間の事業者や個人がそのために「お手伝い」をするという制度なんです。
ですから、現時点では、国民にはほとんどメリットはありません。
制度が始まる以前から、マイナンバーの流出事故が報道されていますが、番号や個人情報の不正利用や改ざんなどにより、本人に「なりすまし」て財産その他の被害を負うおそれも指摘されています。
アメリカでは、深刻ななりすまし被害が増大し、2006~2008年の3年間で1170万人、損害額が毎年約5兆円と報告されています。
もし、今後、マイナンバーの利用範囲が拡大されれば、逆に、不正利用の危険性も高まると言えるでしょう。
また、マイナンバー法は、定められた目的以外で、個人番号を他人に提供したり、他人の番号を収集したりすることを禁止しています。
ですから、例えば、いくら自分の番号だからと言って、ブログやtwitterなどに番号を掲載することはできません。
また、客が身分証明書代わりに個人カードを店舗に提示しても、店が個人カードの裏面をコピーしたり、番号を書き取ったりすることは許されません。
(2016年1月8日付け京都新聞夕刊)。
国は、個人番号カードの普及に全力をあげていますが、悪用された時のリスクを考えると、取得するか否かは慎重に判断した方が良いと思います。
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